迂回献金(読み)ウカイケンキン

デジタル大辞泉 「迂回献金」の意味・読み・例文・類語

うかい‐けんきん〔ウクワイ‐〕【×迂回献金】

企業業界団体などが、政党やその政治資金団体を経由して政治家個人に献金すること。法律で禁止されている、企業・団体から政治家個人への献金の抜け道となっている。→政治献金

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「迂回献金」の解説

迂回献金

法で禁止された政治家個人に対する資金供与を、政党や政党の政治資金団体など第三者に迂回させて行う献金手法。2009年、民主党代表小沢一郎に対する西松建設からの巨額の献金に検察捜査が及び、次期政権をうかがう民主党に痛打となった。
企業や業界団体などからの特定の政治家に対する献金は、政治資金規正法によって禁止されており、政党および政党の政治資金団体への献金に限られる。また公職選挙法により、公共工事を請け負う企業などはそもそも献金することができない。そこで、特定の政治家への献金を意図する企業や業界団体は、政党(およびその支部)や政治資金団体への献金の形を装う。またその際に、自身の名を隠してつくった偽装団体や下請け業者を経由するなどの方法がとられる。これらさまざまな手法を駆使して資金を迂回させ、法の網をかいくぐって特定の政治家に提供しようとする企てを迂回献金という。
公共工事を請け負う西松建設の場合は、名前を隠して献金するために、「社員有志による政治団体」をつくり、会費をとりあつめて政治家の資金管理団体に献金するという手法をとった。会費は実際には西松建設から支給されていた。このほかゼネコン各社による下請け業者名をかたった献金なども指摘されている。迂回献金はもとより脱法的な企図をもった行為である。にもかかわらず、日本歯科医師連盟による自民党石原伸晃や根本匠に対するものなど、従来から枚挙にいとまがない。今回も、小沢側は国策捜査であるなどと論難し、西松関係者は「会社の慣例としてやっただけで、違法とは思わなかった」と述べるなど、法の裏をかく行為が常態化していることは明らかであり、根深い問題点を抱えている。

(金谷俊秀 ライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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