造幣寮(読み)ぞうへいりょう

山川 日本史小辞典 改訂新版 「造幣寮」の解説

造幣寮
ぞうへいりょう

明治初年の政府の貨幣鋳造機関。幕末開国以来の通貨混乱を防止するため,明治政府は良貨鋳造と幣制確立を急いだ。1869年(明治2)4月貨幣司を廃して造幣局(大阪)を新設,さらに同年7月大蔵省所属の造幣寮となった。開業は71年閏2月。1円銀貨・銀銅補助貨鋳造のほか,硫酸・コークス・ガス製造なども行い,民間工業にも貢献した。建設には五代友厚,英人ウォーターズがあたり,英人商人グラバーが香港(ホンコン)から鋳造機械を輸入。77年1月再び造幣局と改称。旧大阪造幣寮の正面玄関は鉄骨総赤煉瓦造の明治初期西洋建築として重文指定。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の造幣寮の言及

【貨幣】より

…藩札のほかに民間紙幣の私札が近世初期から各地において発行された。 1871年4月,政府は造幣寮(現在の大蔵省造幣局)の開業に踏み切り,同年5月には新貨条例を制定してという貨幣単位を採用し,江戸時代の両・匁・文の体制から切り替えた。新しい金貨・銀貨・銅貨は円形の貨幣となり,江戸時代の楕円形の大判・小判,なまこ形の丁銀,不定形の小粒であった豆板銀などが円形に統一された形状をもつことになった。…

【造幣局】より

…貨幣の製造をおもな業務とする大蔵省の付属機関。その歴史は古く,1869年(明治2)太政官に造幣局が設けられたが,同年,造幣寮と改称,77年にふたたび造幣局となった。造幣寮は,1871年大阪で創業され,当時としては画期的な洋式の機械設備により貨幣の製造を開始し(〈大阪造幣寮〉の項参照),その後勲章の製造,貴金属の品位証明等,逐次事業の範囲を拡大し今日に至っている。…

※「造幣寮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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