造幣局(読み)ぞうへいきょく

精選版 日本国語大辞典 「造幣局」の意味・読み・例文・類語

ぞうへい‐きょく ザウヘイ‥【造幣局】

〘名〙 独立行政法人の一つ。平成一五年(二〇〇三)四月以前は財務省もと大蔵省)の付属機関の一つで、造幣事業を行なう現業官庁。明治二年(一八六九設置。のち造幣寮となったが、同一〇年再び造幣局となる。貨幣勲章などの製造のほか、貨幣・地金の出納保管、重要金属の地金および鉱物を分析試験するなどの事業を行なう。
御沙汰第一一九‐明治二年(1869)二月五日「太政官中新に造幣局御取建に相成候」

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デジタル大辞泉 「造幣局」の意味・読み・例文・類語

ぞうへい‐きょく〔ザウヘイ‐〕【造幣局】

貨幣の鋳造のほか、勲章・賞牌しょうはいなどの製造や地金銀の精製分析、合金の製造、貴金属品位証明などを行う行政執行法人本局大阪市にある。明治4年(1871)設立。平成15年(2003)3月までは財務省の付属機関。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「造幣局」の意味・わかりやすい解説

造幣局
ぞうへいきょく

財務省所管の独立行政法人。1869年(明治2)2月に太政官(だじょうかん)のなかに設けられ、同年7月に造幣寮と改称し、イギリスから造幣機械を輸入して1871年4月に大阪で開業した。1877年1月にふたたび造幣局と改称した。その後、2001年(平成13)1月の中央省庁再編で、大蔵省が財務省に改称したのに伴い、財務省の所属となり、2003年4月、財務省所管の独立行政法人となった。大阪市の本局のほか、東京、広島に支局を置いている。

 造幣局の事業は、貨幣・勲章・章牌(しょうはい)・合金および金属工芸品などの製造、記念貨幣等の販売、貴金属の精製および品位の証明、鉱物の分析および試験などである。これらの事業を一般会計と区分して企業的に運営するために特別会計が設けられていたが、独立行政法人化に伴って廃止された。もっとも大きな事業は貨幣の製造であり、国民経済の進展、自動販売機の普及に伴ってその需要は急速に拡大した。2007年度の製造実績では、500円ニッケル黄銅貨4億0990枚、100円白銅貨1億2990万枚、50円白銅貨990万枚、10円青銅貨3億8890万枚、5円黄銅貨990万枚、1円アルミ貨2億2390万枚の製造となっている。大臣執行官となって新しく製造された貨幣が規定どおりにつくられているかどうかを公開の場で検査する「製造貨幣大試験」は、1872年5月に当時の大蔵大輔(たいふ)兼造幣頭井上馨(かおる)が執行官となって行ったのに始まり、以後今日まで続けられている。

 なお、貨幣の引き換えまたは回収にあてる資金を保有することによって貨幣の信任の維持を図るという趣旨から、貨幣回収準備資金制度が設けられている。

[林 正寿]

『造幣局125年史編集委員会編『造幣局125年史』(1997・大蔵省造幣局)』


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改訂新版 世界大百科事典 「造幣局」の意味・わかりやすい解説

造幣局 (ぞうへいきょく)

貨幣の製造をおもな業務とする大蔵省(2001年より財務省)の付属機関。その歴史は古く,1869年(明治2)太政官に造幣局が設けられたが,同年,造幣寮と改称,77年にふたたび造幣局となった。造幣寮は,1871年大阪で創業され,当時としては画期的な洋式の機械設備により貨幣の製造を開始し,その後勲章の製造,貴金属の品位証明等,逐次事業の範囲を拡大し今日に至っている。大阪市所在の本局のほか,東京支局(1879東京出張所設置,1943支局昇格)および広島支局(1945設置)があり,いわゆる四現業の一つとして造幣局特別会計により運営され,定員は1475人(1997年度末)である。本局の組織は局長の下に総務部,事業企画部,製造部が置かれていた。2003年に独立行政法人となった。

 貨幣は,年度ごとに出される大蔵大臣の製造命令により製造される。毎年度の製造数量は国民経済の動向その他の要因により変動するが,近年は,各種の貨幣をあわせて30億~40億枚となっている。通常の貨幣のほか,オリンピック,万国博覧会など国家的行事に関する記念貨幣の製造も造幣局の業務である。造幣局の業務としては,そのほかに,(1)総理府賞勲局の注文による勲章,褒章類の製造,(2)官公庁その他の注文による銀盃,バッジ,メダル等金属工芸品の製造,(3)鉱山会社,貴金属商等の依頼による貴金属地金の精製および品位証明,(4)官公庁その他の依頼による地金,鉱物の分析および試験,(5)貴金属製品の製造業者または販売業者からの依頼による貴金属製品の品位証明,などがある。なお,毎年,大蔵大臣が執行官となって,〈製造貨幣大試験〉が行われるのが例となっているが,これは,製造された貨幣が定められた誤差の範囲内にあるかどうかを検査するものである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「造幣局」の意味・わかりやすい解説

造幣局
ぞうへいきょく

貨幣・勲章・褒章・金属工芸品の製造,貴金属の品位証明等を行なう独立行政法人。貨幣に対する信頼を維持するために必要な情報の提供を行ない,通貨制度を安定させることなどを目的とする。 1869年2月太政官の中に設置され,7月に造幣寮と改称,イギリスから造幣機械を輸入して 1871年4月に現在地 (大阪市北区) で開業ののち再び 1877年造幣局と改称した。 1948年大蔵省の特別の機関となり,2001年省庁改編により財務省の所属となったのち,2003年4月独立行政法人となった。地金・鉱物の分析および試験,貴金属地金の精製なども行なっている。大阪市に本局,東京都豊島区および広島市佐伯区に支局がある。根拠法律は独立行政法人造幣局法 (平成 14年法律 40号) 。

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百科事典マイペディア 「造幣局」の意味・わかりやすい解説

造幣局【ぞうへいきょく】

貨幣の鋳造,章牌(はい)・記章・金属工芸品の製造,貴金属とその製品の品位証明,重要金属の地金・鉱物の分析や試験などを行う財務省(旧大蔵省)の付属機関(2003年独立行政法人化)。大阪市にある。1869年2月太政官中に置かれた造幣局が初め。同年7月大蔵省造幣寮となり,1877年現名。

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旺文社日本史事典 三訂版 「造幣局」の解説

造幣局
ぞうへいきょく

明治初年に設立された政府の貨幣鋳造所
1869年大阪に新貨鋳造の目的により設置。やがて大蔵省造幣寮となる。'71年イギリス人技師の指導により,金貨・銀貨の鋳造が開始された。'77年再び造幣局と改称。貨幣鋳造のほかに硫酸・ソーダなども製造した。

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事典・日本の観光資源 「造幣局」の解説

造幣局

(大阪府大阪市北区)
さくら名所100選」指定の観光名所。

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