日本大百科全書(ニッポニカ) 「連関痛」の意味・わかりやすい解説
連関痛
れんかんつう
referred pain
内臓疾患が存在する場合に、内臓知覚反射のため、疾患部位から離れた一定領域の皮膚部位に感じられる痛みをいい、関連痛あるいは投射痛、放散痛ともいう。たとえば、狭心症では前胸部とともに左肩や左腕内側に、また膵(すい)炎では左胸部、尿路結石では鼠径(そけい)部(ももの付け根)にそれぞれ痛みを感ずる。これは、内臓と皮膚からの求心性神経が同じ高さの脊髄(せきずい)に入った場合、実際の刺激は内臓神経から発射されているのに、あたかも皮膚から出ているかのように感ずることによっておこる。すなわち、痛覚刺激に比較的鈍感な内臓の知覚神経中枢よりも、敏感な皮膚の知覚神経中枢を刺激することになるわけで、この知覚過敏となって現れる一定の皮膚領域をヘッド帯といい、これから逆に内臓疾患の診断に応用されている。なお、ヘッド帯は、これをとくによく研究したイギリスの神経学者ヘッドHenry Head(1861―1940)にちなんでよばれたものである。
[柳下徳雄]