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知覚 ちかく perception

翻訳|perception

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

知覚
ちかく
perception

一般的には,感覚器官を通して,現存する外界の事物や事象,あるいはそれらの変化を把握すること。広くは,自分の身体の状態を感知することをも含める。把握する対象に応じて,運動知覚奥行知覚形の知覚空間知覚時間知覚などが区別されるが,いずれの場合にも事物や事象の異同弁別,識別,関係把握などの諸側面が含まれる。

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デジタル大辞泉の解説

ち‐かく【知覚/×智覚】

[名](スル)
思慮分別をもって知ること。「物の道理を―する」
感覚器官を通して外界の事物や身体内部の状態を知る働き。

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百科事典マイペディアの解説

知覚【ちかく】

感覚

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世界大百科事典 第2版の解説

ちかく【知覚】

〈知覚〉は,日本では古来,〈知り,さとる〉という意味の語であったが,西周が,アメリカ人ヘーブンJoseph Havenの著《Mental Philosophy》(1857,第2版1869)の邦訳《心理学》上・下巻(1875‐79)の中で,perceptionの訳語として使用して以来,哲学や心理学などで英語,フランス語のperceptionやドイツ語のWahrnehmungの訳語として定着するに至った。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

知覚
ちかく
perception

人間をはじめとする生活体が視覚、聴覚、触覚などの感覚受容器を通して環境の事物やその変化を知ることを意味する。感覚は、受容器が興奮し、求心性神経によって伝達されたインパルスimpulseが感覚中枢を刺激することによってもたらされる直接的経験であるが、知覚はいくつかの受容器の相互作用に基づいた総体的な経験である。過去の記憶内容との照合、注意、思考、言語といった心理的過程や、運動系との相互作用を重視して考えた場合、さらに広義に認知cognitionといわれる。最近では知覚や記憶、思考などを連続した不可分情報処理過程とみて、主体的要因を含む階層構造を想定する、いわゆる認知的アプローチが試みられている。[西本武彦]

知覚の構造

光とか音のように直接感覚受容器に与えられる刺激は近刺激proximal stimulus、元になっている刺激は遠刺激distal stimulusとよばれる。同じ遠刺激でも受け取る条件によっては異なって知覚される。その逆もいえる。テレビのブラウン管上の人物は電気的に合成された擬似人間であるが、近刺激としては実在する人物と等価である。知覚された事物は一つの構造をもっている。すなわち、刺激布置にまとまりができて(分凝segregation)、部分的に図と地が分節figure-ground articulationしている。この分節を規定する要因としてゲシュタルト心理学では閉合の要因、シンメトリーの要因などいくつかの要因をあげる。図と地の問題に最初に注目したのはルビンである。この反転現象は、物理的刺激としては同一のものでも知覚する主体にとっては図が地になり、地が図になるというように対応関係が変わることを示している。図は無秩序に存在するのではなく、互いにまとまりをもつ。これを知覚対象の群化という。近さの要因、類同性の要因、共通運命の要因などいくつかの要因があげられていて、分節の要因とあわせてゲシュタルトの法則とよばれる。群化の法則は「よい」形態を成立させる法則であり、プレグナンツ(簡潔性)の原理principle of Prgnanzが働く。
 実際の生活空間では、知覚対象は時空間的に時々刻々変化し、明るさ、大きさ、角度、距離などが変わるが、相互の割合が変わらなければ対象の知覚は変わらない(知覚の恒常性perceptual constancy)。逆に、同じ対象でも周囲の刺激布置や枠組みによって異なって知覚されるのが幾何学的錯視である。
 知覚は複雑な心理的過程の総体であり、そこには生活体の学習経験や社会的・文化的背景が反映する。性格検査の一つとして有名なロールシャッハ・テストは多義的で、あいまいな図形を用いるが、基本的には見る人のパーソナリティーがそうした図形の知覚内容に反映するとする力学的知覚の立場にたっている。力学的知覚、社会的知覚といわれるのは主体の欲求や期待を重視する立場であり、ニュールック心理学new look psychologyとよばれる。[西本武彦]

知覚研究の歴史

(1)構成主義的知覚理論 19世紀後半、ドイツ人ブントによって出発した科学的な心理学は、構成主義的心理学であり、心理現象を単純な基本要素の結合によって説明しようとした。この立場の知覚研究は知覚表象を純粋感覚に分析し、その結合法則を考察することであり、ティチナーによってさらに強く主張された。(2)ゲシュタルト理論 構成主義的心理学では知覚を要素過程に分析しようとした結果、素朴な知覚経験の現実性が失われた。これに対してカッツやルビンは心理現象をあるがままにとらえることを主張して、日常空間での色の見え方や図・地の反転現象を詳細に記述した。この立場は実験現象学experimental phenomenologyとよばれ、ゲシュタルト心理学に組み入れられた。ゲシュタルト心理学は構成主義、連合主義をモザイク説として退け、知覚を含む心理現象は体制化された全体構造によって規定されるという全体論的立場を主張した。たとえば、メロディーは個々の音の総和以上の全体的特徴をもつし、構成要素である個々の音を一定音階だけ変化させても同じメロディーとしての特徴は保たれる。すなわち移調transposition可能である。心理現象はもっとも単純で安定した体制に落ち着くように自動的に変化する、というプレグナンツの原理が、ゲシュタルト心理学の基本原理である。ゲシュタルト心理学は、ウェルトハイマーの仮現運動apparent movementを起点とし、ケーラーの心理物理同型論psychophysical isomorphism、コフカらの図形残効figural aftereffect研究、レビンの心理学的場理論に発展していった。(3)現代の知覚研究 ゲシュタルト心理学においてはその研究の多くが図形を暗室で提示するというように、実生活空間から離れた環境で行われた。この点を批判してギブソンは、自然環境のなかでの通常の観察による知覚を重視した。視空間は「面」「線」「距離」の諸特性をもつが、彼はこれらを網膜像における勾配(こうばい)に関係づけたので勾配説gradient theoryといわれる。近接刺激のなかに、知覚の成立に必要な情報が含まれるとする考えである。ブルンスウィクE. Brunswik(1903―55)は、知覚を環境に対する適応の手掛りとしてとらえ、その生態的妥当性ecological validityを問題にして、遠刺激、近刺激、知覚の三者関係をレンズ・モデルlens modelで示した。またエームズA. Ames Jr.に代表されるトランスアクション説transaction theoryにおいては生活体と環境との力動的相互関係が重視され、過去経験によって生まれた仮説が知覚を導くと考える。
 このほか、ゲシュタルト心理学ではあまり取り上げられなかった欲求、期待、性格といった生活主体の要因を重視したのが、ニュールック心理学である。ブルーナーらの貨幣の見かけの大きさと貧富の差との関係を調べた実験などがある。
 以上のような機能主義的傾向とは別に、ヘッブの細胞集成体説は知覚過程に対応した神経生理学的過程の成立メカニズムを想定する。しかしモデルの実証性はまだ十分ではない。現代の知覚研究にあって生理心理学的研究は目覚ましく進展している。ヒューベルD. H. Hubelによって発見された、図形特徴を選択的に検出する神経細胞feature detector、マッハ現象Mach phenomenaを説明する側抑制(そくよくせい)lateral inhibitionのメカニズムは知覚研究に大きな影響を与えている。
 さらに精神物理学がフェヒナーによって創設されて以来、彼の考案した測定法は改良を加えられながら今日、調整法method of adjustment、極限法method of limits、恒常法constant methodとして心理量の評価のうえで重要な役割を果たしている。スティーブンスによって定義された四つの尺度やべき関数、通信工学で生まれた信号検出理論の精神物理学への適用など、心理量の測定法には飛躍的な発展がみられる。[西本武彦]

哲学における知覚

哲学においては、事物についての直接的な認識という性格を示す経験的意識が「知覚」である。もし「感覚」と「知覚」を区別するならば、まとまった体制を備え、事物の直知である「知覚」は、与えられた感覚素材を総合‐統握し、解釈し、あるいは記憶や期待によって補ったりしながら、事物を事物として現出させる経験的意識であると解される。これに対して単に素材的印象としてのデータ(所与)は「感覚」とよばれる。ただし、知覚から区別される単に印象的なセンス・データ(感覚与件)なるものが、実際の経験において与えられることがあるかどうかは疑わしく、「感覚」と称されるものも、単に体制が比較的単純な知覚であるかもしれない。
 ヘーゲルは『精神現象学』(1807)において、知覚を感覚とともに(自己意識とは区別される)対象意識の項目に入れ、しかも知覚が感覚よりも高次なのは、感覚(的確信)がまったく直接、無媒介の「いま」と「ここ」にとらわれているのに対して、知覚は単なる感覚印象的なものを媒介し、たとえば「白く」「固く」「丸く」……ある一つの「物」(たとえば灰皿)をとらえる、つまり事の真実をとらえる(wahr-nehmen)からだとしている。だが、この見方も前記の「知覚」という語の今日における一般的な用法を逸脱するものではない(西洋では近代の初めごろまでは、知覚perceptioは前述したよりも広く、心的な把握の働き一般をさすのに用いられた)。
 知覚はまた、事物の認知であるという点では、想像、身体感覚、夢などに対比させられ、直接的な知という点では、推論のような働きに対比させられることもある。
 サルトルの『想像的なもの(想像力の問題)』(1940)によれば、想像的な意識はその対象を無として、つまり非存在として措定するが、そのことは逆にいえば、想像には知覚にみられる対象の「観察」が伴わないこと、想像が一種の「擬似観察」であることを示す。知覚には、対象の射映面的な現出に伴う際限のない観察ということがあり、無限にくみ尽くしがたい豊饒(ほうじょう)性があるのに対して、想像物の擬似観察は、観察とはいっても、想像する主観が初めそこに措定したもの以上には出ない観察である。知覚の主題的対象がそれを取り巻くもろもろの地平に守られながら、前後左右、遠近さまざまの現出様式(射映面)を通して物として現前してくるところに、知覚物が想像物や単なる観念とは違って、「生きた」知覚物であるしるしが認められるのである。[山崎庸佑]
『藤永保他編『新版 心理学事典』(1981・平凡社) ▽R・L・グレゴリー著、金子隆芳訳『インテリジェント・アイ』(1972・みすず書房) ▽J・E・ホッホバーグ著、上村保子訳『知覚』(1981・岩波書店) ▽和田陽平他編『感覚・知覚心理学ハンドブック』(1969・誠信書房) ▽ヘーゲル著、金子武蔵訳『精神の現象学』上下(1971、79・岩波書店) ▽メルロ・ポンティ著、竹内芳郎他訳『知覚の現象学』全二巻(1967、74・みすず書房)』

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世界大百科事典内の知覚の言及

【感覚】より


【哲学における感覚】
 仏教用語としては古くから眼識,耳識,鼻識,舌識,身識(これらを生じさせる五つの器官を五根と称する)などの語が用いられたが,それらを総称する感覚という言葉はsensationの訳語として《慶応再版英和対訳辞書》に初めて見える。日常語としては坪内逍遥《当世書生気質》などに定着した用法が見られ,また西田幾多郎《善の研究》では知覚と並んで哲学用語としての位置を与えられている。 哲学史上では,エンペドクレスが感覚は外物から流出した微粒子が感覚器官の小孔から入って生ずるとしたのが知られる。…

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