からだの内部の腔所にある諸臓器の総称。俗に臓腑,はらわたともいう。メスやピンセットなどを使って細かく解剖しなくても,簡単に取り出せるような臓器が古くから内臓と呼ばれてきた。漢方医学で五臓(心,肝,腎,肺,脾)六腑(胃,大腸,小腸,膀胱,胆,三焦)といわれたものが内臓である。ただし,六腑のなかで三焦がなにものをさすかは昔も今も不明である。今日の解剖学において内臓学として取り扱うのは消化器,呼吸器,泌尿生殖器および内分泌器であって,臓器を取り出すことの難易など今では問題としない。心臓は明らかに胸部の内臓に属するが,これは循環器の大本をなす部分として,多くの場合内臓学から除かれている。また脾臓は腹部の内臓にまちがいないが,これも循環器に属するものとして内臓学からは除外されることがある。古くは脳も内臓の一つとして数えられたことがあるが,これは神経系の最も主要な部分であり,今日では当然内臓の外におかれている。
→五臓六腑
執筆者:小川 鼎三+藤田 恒夫
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体腔(たいくう)の中にあって、それだけを取り出すことのできる、ある程度独立した器官をいう。古くは脳、心臓、脾臓(ひぞう)、眼球などもこれに含めていたが、現在では、脳は神経系、心臓と脾臓は血管系、眼球は感覚器系の視覚器に属させている。したがって、内臓学として対象とする内臓は、消化器系、呼吸器系、泌尿・生殖器系、内分泌器系に属する器官となる。これらの内臓には、実質性臓器と中空性臓器とがある。実質性臓器とは、その臓器特有の細胞が集合して実質を構成しているもので、肝臓、腎(じん)臓、精巣(睾丸(こうがん))、卵巣、甲状腺(せん)、下垂体、副腎、胸腺などが含まれる。これらの実質性臓器は、分泌機能ももっている。また、実質の中には結合組織が入り込んで、間質あるいは支質として実質の保護や支持の役を果たしている。中空性臓器とは、管(くだ)とか嚢(のう)を形成するもので、そのもっとも内壁には粘膜、その外側には筋層、最外層には漿膜(しょうまく)あるいは外膜の層がある。中空性臓器には、咽頭(いんとう)、食道、胃、腸管、喉頭(こうとう)、気管系、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道、精管、卵管、子宮、腟(ちつ)などが含まれる。
[嶋井和世]
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…胸部には1対の乳があり,腹の正中線上には,胎生期の母体との交通路が遺存したへそがある。
[骨格と内臓]
四肢は芯に骨格をもっているが,頭と胴では,骨格はむしろ体壁の一部をなしており,内部の内臓諸器官を保護している。体を支える軸となる骨格は脊柱で,胴の正中背側部を頸の上端から骨盤まで縦走している。…
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