遠市郷(読み)とおちごう

日本歴史地名大系 「遠市郷」の解説

遠市郷
とおちごう

和名抄」所載の郷。藤原宮跡出土木簡に「(表)三野国本□□□□(須郡十市カ) 」「(裏) 凡米五斗」とあるのが初見とされる。年紀は記されていないが、郡と判読できることにより、藤原京時代(六九四―七一〇)のうち大宝令の施行以後のものであろう。ただし国・郡名の表記は古い段階のものを用いている。この木簡によれば、「十市」と表記する時代もあったようである。「和名抄」には「遠市」は他にみえないが、「十市」は大和国に郡名が、筑前国鞍手郡に郷名がみえ、それぞれ刊本では「止保知」「止布知」とよんでいる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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