日本大百科全書(ニッポニカ) 「根尾」の意味・わかりやすい解説
根尾
ねお
岐阜県南西部、本巣郡(もとすぐん)最北部にあった旧村名(根尾村(むら))。現在は本巣市の北部を占める一地区。2004年(平成16)本巣町、真正(しんせい)町、糸貫(いとぬき)町と合併、市制施行して本巣市となる。旧根尾村は、根尾川上流域にあり、その奥部はY字形に東西の谷に分かれている。東谷の奥部は1959年(昭和34)の伊勢湾(いせわん)台風、西谷の奥部は1965年の集中豪雨による災害で、急速に過疎化が進んだ。奥部以外では山林の緑化が進み、樽見鉄道(たるみてつどう)の延長(1989年樽見まで開通)で東谷の地下資源の開発が期待される。国道157号、418号が通る。能郷地区の猿楽狂言(さるがくきょうげん)は古い伝統をもち、国指定の重要無形民俗文化財である。また、1891年(明治24)の濃尾(のうび)地震で生じた水鳥(みどり)地区の断層は有名で、根尾谷断層とよばれる。上下の変化6メートルに及び、菊花石とともに国指定特別天然記念物。断層の保存などのために「根尾谷地震断層観察館」がつくられている。また根尾谷淡墨ザクラ(うすずみざくら)は国指定天然記念物である。
[上島正徳]
『『根尾村史』(1980・根尾村)』