還流比(読み)かんりゅうひ(英語表記)reflux ratio

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「還流比」の意味・わかりやすい解説

還流比
かんりゅうひ
reflux ratio

蒸留で一度蒸気になったものを凝縮させて蒸留塔に戻すことを還流という。還流量を LR とするとき,留出量 D との比 LR/D が還流比。単蒸留では還流比ゼロ。多段蒸留では還流比を変えることによって留出液の沸点範囲 (成分組成) が変化する。還流比を無限大にすれば,精留効果は最大になるが,留出成分の量は当然無限小になる。

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世界大百科事典(旧版)内の還流比の言及

【還流】より

…このように蒸留塔の内部では,上方から液が下降し,下方から蒸気が上昇して気‐液接触が行われる。この塔へ戻される液(還流液)のことを単に還流またはリフラックスといい,還流の量Lと留出液の量Dとの比L/Dを還流比reflux ratioと呼ぶ。コンデンサーには全縮器と分縮器とがあって,全縮器では塔頂からの蒸気はすべて凝縮されて液となるが,分縮器では一部は蒸気またはガスのまま取り出され,一部が液化されて還流となる。…

【蒸留】より

…塔頂で温度を測定し,その温度がメチルアルコールの沸点64.65℃に近くなったら,塔頂から留出液を取り出すと,純粋に近いメチルアルコールが得られることになる。しかし,そのときでも塔頂の液の一部は塔へ還流液として戻さなければならず,留出させる液量Dに対する塔への還流液量Lの比L/Dを還流比と呼んでいる。ある程度留出させると留出液中に水も混ざってくるので蒸留を中止する。…

※「還流比」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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