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蒸留 じょうりゅう distillation

翻訳|distillation

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

蒸留
じょうりゅう
distillation

液体をその沸点まで加熱し,出てきた蒸気を冷却,液化して集める操作をいう。液体成分の分離,精製に使われる。蒸留法には単蒸留のほか,蒸留を繰返して各成分の分離を高める分留 (分別蒸留,この目的には精留塔あるいは蒸留塔が用いられる) ,減圧下で蒸留する減圧蒸留 (真空蒸留) ,熱に不安定な物質を高真空下で蒸留する分子蒸留や,蒸気圧の高い物質を水蒸気とともに留出させる水蒸気蒸留などがある。

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デジタル大辞泉の解説

じょう‐りゅう〔‐リウ〕【蒸留/蒸×溜/蒸×餾】

[名](スル)液体を沸騰するまで加熱あるいは減圧して蒸発させ、その蒸気を冷やして再び液体にすること。液体の精製、混合液体の分離などに用いる。「天然水を―する」

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百科事典マイペディアの解説

蒸留【じょうりゅう】

液体の各成分の揮発性や沸点の差を利用して分離を行う操作。いったん蒸気とし,これを再び液化することによって精製分離する。低沸点・高揮発性のものほど先に留出する。化学工業上きわめて重要な操作で,石油製品の製造,アルコールや各種溶剤の精製をはじめ広範囲に利用されている。
→関連項目蒸留水

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栄養・生化学辞典の解説

蒸留

 沸点以上の温度にして,物質を蒸発させ,蒸気を冷却して蒸発した物質を回収する方法.沸点の異なる物質の分離精製に用いられる.

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世界大百科事典 第2版の解説

じょうりゅう【蒸留 distillation】

液体混合物を,その成分の熱的性質(沸点とか蒸気圧など)の差を利用して分離する操作。現在工業的に最も多く用いられている分離操作である。空気のように通常は気体の混合物でも,-200℃近くまで冷却して液化すれば,蒸留によって,その成分すなわち酸素,窒素,アルゴンに分離することができる。またエチレンとかプロピレンのような気体も,加圧することにより液化し,蒸留による精製を行っている。また,通常は固体であるものも,加熱して液化させれば蒸留によって分離することができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

蒸留
じょうりゅう
distillation

一般にある溶液(混合溶液)を加熱し、その一部を揮発させ、発生した蒸気を別の場所に移して凝縮させる操作をいう。正確にはこれだけでは単蒸留という。以前は「蒸溜」という字を用いたが、「留」では逆の意味になってしまった。[山崎 昶]

歴史

混合溶液を蒸留すると、通常は組成の異なる2種以上の液体に分けることができる。古くより発酵酒からアルコール分を濃縮するのに用いられてきた。この起源は古代ギリシア時代にまでさかのぼりうるという。当時の陶製の蒸留容器はアムビックスambixとよばれたが、やがてイスラム文化圏に伝わり、のち、スペインを経てヨーロッパ各国に再輸入された。英語のアランビックalembicはこのような歴史を示している。日本にも江戸時代に輸入され、国内でも意匠を凝らしたものができて「蘭曳(らんびき)」とよばれた。当時の豪商は、客の面前で自ら蘭曳から蒸留した酒を客に供するのを最高のもてなしとしたので、いろいろと風雅な高級品がつくられた。このように蒸留は古くから用いられた分離・精製の手段で、現在では化学工業において、きわめて重要な手法の一つとなっている。
 蒸留の装置には、少なくとも罐(かま)、凝縮器、受器の3部分が必要である。罐は原料液を入れて加熱するところ、凝縮器は発生した蒸気から熱を奪って液化を行うところ、受器は凝縮した液体をためるところである。[山崎 昶]

蒸留の基本原理

たとえば、混合溶液が低沸点成分Aと高沸点成分Bとからなる二成分系を考えてみよう。混合溶液をフラスコに入れて加熱し、出てくる蒸気を凝縮器で凝縮させると、その成分は、初めの混合溶液よりも低沸点(したがって揮発性に富んだ液)であるのが普通である。そして、フラスコ内に残った液は高沸点の揮発しにくい成分が多くなっている。このようにA、Bの揮発度の差を利用して、蒸発・凝縮を組み合わせて、混合溶液を揮発しやすい部分と、揮発しにくい部分とに分けることができる。凝縮して得られた液体を留分(溜分)、蒸発せずに残ったほうを罐残(かまざん)という。[山崎 昶]

分縮

混合蒸気が一部分凝縮をおこすと、生じた液相と残存の気相の組成は通常は等しくない。液相はもとの混合蒸気よりも高沸点成分が、気相は低沸点成分が多くなる。このように一部分を凝縮させて、低沸点成分の相対濃度を増加させる操作のことを分縮という。分縮で生じた液相がふたたび新しい蒸気と接触するようにして行う蒸留を「精留」という。[山崎 昶]

いろいろな蒸留法

前述のような簡単な装置の組合せでできる「単蒸留」のほかにもいろいろな蒸留法がある。「分別蒸留」「減圧蒸留」「水蒸気蒸留」「分解蒸留」「抽出蒸留」「平衡蒸留」「共沸蒸留」「精密蒸留」「非沸騰蒸留」「分子蒸留」などと~蒸留の名でよばれるものは数多い。このうち初めの7項目については、それぞれのところに詳しい記載があるから、ここでは簡略な紹介にとどめることにする。[山崎 昶]
分別蒸留
多成分の混合物を加熱し、沸点ごとに受器をかえて成分を分別して採取する方法。理想的な精留塔が使えれば、各成分を純粋に採取できるはずである。[山崎 昶]
減圧蒸留
よく「真空蒸留」などといわれるが、せいぜい数トルから数十トル(1トルはほぼ水銀柱1ミリメートルの圧力)ぐらいで行う蒸留なので、やはり「減圧蒸留」のほうがふさわしい。水流ポンプなどを利用して実験室ではよく行われる方法であるが、工業的には装置が大規模となることもあってあまり用いられない。[山崎 昶]
水蒸気蒸留
水とまったく混合しない成分と水との混合系と平衡にある蒸気圧は、両方の純成分の蒸気圧の和となる。この和が大気圧と等しくなれば沸騰がおこる。たとえば水とテレビン油の混合物に加熱水蒸気を吹き込むと、前記の条件によって両成分の混合物が気化するから、凝縮させて分離を行う。沸点が高くて加熱すると分解するものでも、比較的低温で精製できる。[山崎 昶]
分解蒸留
石油のクラッキングの生成物はそれ自体がかなり高温であるから、ただちに精留塔に導いて蒸留操作を行う。その操作をまとめて分解蒸留という。装置もクラッキング装置と精留塔とをまとめて分解蒸留装置という。[山崎 昶]
抽出蒸留
沸点の接近した成分の混合物に用いられる蒸留法。後述の共沸蒸留とは違って、揮発性の小さい第三の成分を添加し、一方の蒸気圧を大きく下げて分離を可能とさせる。[山崎 昶]
平衡蒸留
フラッシュ蒸留といわれるほうが多い。これは成分の分離をかならずしも目的とせず、溶液を蒸気と液体に急速に分離する方法である。高温に加熱した液体の一部を蒸気とともに採取し減圧すると、溶液は自身の蒸気と平衡を保ちつつ急速に蒸発する。石油工業でのパイプスチルのほか、海水の脱塩や廃液の処理などにも用いられている。[山崎 昶]
共沸蒸留
通常の蒸留では分離が困難な混合物を分離するのに、第三の成分を添加して共沸混合物をつくらせ、蒸留によって分離を行う方法。96%エタノールにベンゼンを加えて蒸留脱水を行うなどが好例である。抽出蒸留と比較されたい。[山崎 昶]
精密蒸留
多段の精留塔を用い、わずかな沸点の差を利用して混合物中の成分を分離する方法をいう。[山崎 昶]
非沸騰蒸留
蒸留は精製を目的として行われるが、蒸留の効率から考えると、罐の内容物を沸騰させて蒸気を大量に生成するような条件で行うのが通常である。だが、不純物の混入を押さえるためには、効率はさほど高くなくともよい場合もある。沸点以下でもかなり高い蒸気圧をもつ物質であれば、蒸気を凝縮させることによって、精製度を向上させることができる。これを非沸騰蒸留あるいは亜沸点蒸留とよぶ。
 通常の沸点まで加熱するタイプの蒸留装置(沸騰型)で蒸留水をつくることを考えると、(1)容器の内面のぬれによる原水の這(は)い上がり(クリーピング)、(2)蒸留時のミスト生成による原水の流出液への混入、(3)残液の不純物濃度の上昇、の3原因のために、蒸留によっても、ある程度以上のきれいな水を得ることはできない。とくに(2)のミストの混入は重要な汚染源である。このミストの生成は、沸騰によって液相の内部から気体(蒸気)が発生するときに、液体の飛散が伴うことが原因である。そこで赤外線加熱などにより、沸騰させぬように表面から緩やかに蒸発をおこさせ、この蒸気を凝縮させると、ミストによる汚染が除かれるから純度の高い留出液が得られる。原子吸光などの高感度の分析法に用いる水や試薬の調製によく用いられる手法である。[山崎 昶]
分子蒸留
普通の減圧蒸留法では蒸留できない高沸点のものにも応用できるように考案された蒸留法。圧力を10~100マイクロトルとして加熱する。液面と冷却面との間隔を分子の平均自由行程(相次ぐ衝突間に飛翔(ひしょう)しうる距離の平均)よりも小さくすると、液面から逸散した分子はほとんど冷却面に補修され、液化、凝縮がおこる。平均自由行程は分子量と圧力の関数であるので、圧力と間隔を調整することによって他の成分との分離が可能となる。その昔は同位体分離に応用されたこともあるが、なかなか気化しにくい高分子物質の蒸留精製や、高温では分解しやすい脂溶性ビタミン類の蒸留などに用いられている。[山崎 昶]
『化学工学協会編『化学工学の進歩17 蒸留技術』(1983・槇書店)』

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