化学辞典 第2版 「金化合物」の解説
金化合物
キンカゴウブツ
gold compound
一価および三価の化合物が知られている.【Ⅰ】金(Ⅰ)化合物:第一金化合物ともよばれる.水酸化金(Ⅰ)AuOH,酸化金(Ⅰ)Au2O,硫化金(Ⅰ)Au2S,塩化金(Ⅰ)AuClなどが知られているが,一価の状態では強い酸化力をもっているので(標準電極電位 Au+/Au,+1.83 V),水溶液中では不安定で還元されやすい.錯イオン [AuCl2]-,[Au(CN)2]- は安定である.【Ⅱ】金(Ⅲ)化合物:第二金化合物ともよばれる.水酸化金(Ⅲ)Au(OH)3,三酸化二金Au2O3,三硫化二金Au2S3,塩化金(Ⅲ)AuCl3 などがある.一般に,一価の状態より安定であるが(Au2+/Au,+1.52 V),錯体をつくるほうがより安定である.K[AuCl4]・2H2Oなどが知られている.
無機金塩類は雷金を除いて劇物指定.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報