…また播磨国(はりまのくに)は《古事記》に〈針間〉と表記され,《今昔物語集》にも播磨の書写山の聖として有名な性空が,誕生のとき手に針を握っていたという話があって,針の生産地であったらしく,《新猿楽記》には播磨国の名産として針があげられている。中世に多く製作された職人歌合絵(うたあわせえ)の類には,針磨(はりすり)と呼ばれる針づくり職人の姿が見られるが,多くは舞鑽(まいきり)を用いてめど穴をあけているところを描いており,この作業が針づくりの工程の中で重要であったことを示している。針の穴については,早く平安時代の《宇津保物語》にも,〈いと使ひよき手作りの針の耳いと明らかなる〉と,耳(穴)が使いよさにつながることが語られており,後の《慶長見聞集》にも,小さな針に穴をあけることへの驚きが記されている。…
※「針磨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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