防さび剤(読み)ぼうさびざい(その他表記)rust inhibitor

日本大百科全書(ニッポニカ) 「防さび剤」の意味・わかりやすい解説

防さび剤
ぼうさびざい
rust inhibitor

金属腐食がおこりやすい状況でも腐食しにくくする、つまりさびないようにする物質。金属がさびるのは水と酸素があって金属と反応することが原因であることが多く、これを防ぐには金属表面に薄い防護膜をつくるようにする物質が必要である。気化性のもの、溶液として使うもの、あるいは油性のものなどがある。実用のものとしては金属によく吸着する油、界面活性剤、ワックスなどが普通に用いられる。水溶液中ではさび止めとしてクロム酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩などの無機塩が弱酸性で鉄の腐食防止剤として古くから用いられている。強酸性では陰イオン活性剤が有効であり、ボイラーや熱交換器などではアミン類がよく用いられる。機械類のさび止めとしては、油溶性の金属せっけんなどがある。気相のさび止めとしては、シクロヘキシルアミン亜硝酸塩などを機械部品の包装紙に塗布あるいは染み込ませて用いることがよく行われる。

[中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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