…それとともに大高持層は譜代下人や家来百姓の労働力を使って数町,十数町の耕作を営んだ。これらの上層百姓をとくに頭(かしら)百姓と呼び,その他の小百姓を脇百姓・地下百姓と呼んで,藩政のうえでも住居・衣服に差をつけた所もある。このような地域では農業に不可欠な林野も頭百姓の占拠するところとなっており,地下百姓は特別の恩恵によってのみ利用を許された地域もある。…
…
[頭分制村落]
豊臣秀吉による1589,90年(天正17,18)の太閤検地,大久保長安の行った1609,10年の石見検地を出発点として,17世紀の中ごろから後半の元禄期ごろにかけて,単婚小家族自営農民を基本とする近世村落が,美濃平野部では頭分(かしらぶん)制村落として形成された。中世土豪の系譜をひき,庇,白壁,裃,苗字などの諸特権をもち,村役人を独占する頭百姓が,成長した小農などの一般農民,すなわち脇百姓の攻撃からその諸特権を守るため,それらを村法に規定した。美濃における兵農分離の特徴,小農自立のありかたがここに特徴的にしめされている。…
※「頭百姓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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