日本大百科全書(ニッポニカ) 「高久古墳群」の意味・わかりやすい解説
高久古墳群
たかくこふんぐん
福島県いわき市平(たいら)を流れる夏井(なつい)川の下流域に展開する種々の古墳群の総称。
国指定史跡の甲塚(かぶとづか)は、代表的な沖積地上の円墳であるが、有名な「八方にらみの松」はいまは枯れてしまった。近くの丘陵上には「千五穴(せんごあな)」とよばれる横穴墓群がある。さらに、高久地区には、数多くの横穴墓群のほかに、砂丘上に構築された神谷作(かみやさく)古墳群、久保之作(くぼのさく)古墳群、豊間(とよま)古墳群などがある。なかでも、神谷作101号墳出土の天冠埴輪(てんかんはにわ)とよばれる「埴輪男子胡坐(こざ)像」をはじめとする埴輪群は、国の重要文化財に指定されている。また、久保之作古墳群などの舟形石棺も重要である。この古墳文化は、根岸(ねぎし)遺跡、夏井廃寺跡など律令(りつりょう)時代の「磐城郡衙(いわきぐんが)」に継承される。
[渡邊一雄]