農耕社会が一定の成熟をみせる新石器時代後半から青銅器時代にかけて,盛土を有する墳墓が世界各地で築造された。盛土の平面が円形をなす墳墓(円墳)は,その中心的な形態の一つで,西北ヨーロッパの巨石墳の一部やユーラシア大陸内陸部のクルガン等がよく知られている。東アジアでは青銅器時代の華南に先駆をみ,馬王堆墳墓群のごとく前漢にも築かれたが,方墳を主体としていた中原に円墳が普及するのは後漢に入ってからである。日本では,古墳時代に截頭円錐形のものが出現し,首長や族長層に用いられたが,古墳時代後期には,横穴式石室を伴う土饅頭形の小型墳が全国的に盛行し,家族墓として,より広範な階層の人々に採用され,群集墳を形成した。なお,古墳時代は,前方後円墳をはじめとする各種の古墳が厳しい約束のもとで築かれた特色ある時代であるので,円墳という呼称はこの時代のものに限って使用し,他の円形墳と区別しようとする考えもある。
→古墳
執筆者:和田 晴吾
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墳丘の平面形が円形をなす古墳。頂部の平坦面は,新しくなるに従いせまくなる。古墳時代の全時期を通じてみられるが,後期には多数の円墳が築造され,群集墳を構成した。前方後円墳と比較すると一般に規模は小さく,径50mをこえる例は少ない。前・中期には各地域の中小豪族層に一般的な墳形であったが,後期には集落の家父長層も円墳を築くようになったことが,爆発的増加の原因と考えられる。
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