日本大百科全書(ニッポニカ) 「鬧天宮」の意味・わかりやすい解説
鬧天宮
どうてんきゅう
中国の京劇の作品。京劇のほか崑曲(こんきょく)で上演されることも多い。小説『西遊記(さいゆうき)』に取材。玉帝により斉天大聖(せいてんたいせい)に任命された孫悟空(そんごくう)は天界に入り、自分の職が端役にすぎないと知って怒る。そこでまず蟠桃会(ばんとうえ)の仙桃を食い尽くし、太上老君(たいじょうろうくん)の仙薬「金丹(きんたん)」まで平らげてしまう。一度は捕らえられるが、ついには南天門を破って天界を脱出、追っ手の天兵と戦って大いにこれを破る。この作品は、かつては『安天会』とよばれ、孫悟空が捕まって幕となるものだったが、中国革命後は孫悟空の反抗を強調すべく改編されていまの形となった。武生(ぶせい)(立役)の立回りを見せ場とする代表的な演目として知られる。京劇では楊小楼(ようしょうろう)や李少春(りしょうしゅん)がこれを得意とし、崑曲では郝振基(かくしんき)らが有名である。
[刈間文俊]