鹿妻堰(読み)かづまぜき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鹿妻堰」の意味・わかりやすい解説

鹿妻堰
かづまぜき

岩手県盛岡市の南西部に造られた堰。北上川支流の雫石 (しずくいし) 川の水を引き,雫石川扇状地と南昌山断層崖下の扇状地および北上川右岸の沖積地を灌漑。雫石川から紫波地方の北上川右岸一帯は,昔から干害地帯であったが,慶安年間 (1648~52) に釜津田甚六が雫石川の出口付近に堰を設けて (旧鹿妻堰) 取水し,開拓を進め,南部藩の穀倉地とした。 1927年に西方の台地上に新鹿妻堰を設け,200km2を開田し,約 45km2を灌漑。運営には鹿妻堰水利組合 (鹿妻土地改良区) があたっている。甚六をまつる鹿妻神社が取水口付近にある。

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世界大百科事典(旧版)内の鹿妻堰の言及

【北上盆地】より

…また,江戸時代の北上川は船の交通路として利用され,さらに奥州道中もこの盆地を南北に通じていたため,現在の一関,水沢,岩谷堂(江刺市),黒沢尻(北上市),花巻,日詰(紫波(しわ)町),盛岡などのおもな都市群は,街道筋の宿場町や河港集落を母体として発展した。 流域は穀倉地帯を形成しているが,これは古くから鹿妻堰(雫石(しずくいし)川から揚水)や寿庵堰(胆沢川から揚水)などのような用水路の開発によって耕地が拡大されてきたことによる。しかし洪水も多く,1619年(元和5)から最近まで約80回におよぶ洪水が記録され,特にカスリン台風(1947),翌年のアイオン台風による被害は大きかった。…

※「鹿妻堰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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