西方(読み)さいほう

精選版 日本国語大辞典 「西方」の意味・読み・例文・類語

さい‐ほう ‥ハウ【西方】

〘名〙
① 西の方。西の方角。仏教では、極楽浄土があるとされる方角。せいほう
※観智院本三宝絵(984)中「我は救世也。家は西方にあり」
※平家(13C前)三「大臣みづから彼行道の中にまじはって、西方(サイハウ)(高良本ルビ)にむかひ」
菅家文草(900頃)四・仁和四年自春不雨。府之少北、有一蓮池「西方色相聞為宝、南郡栄華見可憐」

にし‐かた【西方】

〘名〙 (「にしがた」とも) 西の方角。また、勝負などの場合に、双方東西に分けた時の、西に位置する陣営
※相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉相撲見物記「初日の物言ひに泣かされた玉椿が、又しても西方(ニシガタ)の精悍小錦に敗れて」
※戊辰物語(1928)〈東京日日新聞社会部〉五十年前「五十年前頃はひどく番付が流行した。〈略〉牛肉〈略〉現今浅草名代の米久は西方(ニシカタ)前頭二枚目にある」

せい‐ほう ‥ハウ【西方】

〘名〙 西の方角。西の方面。さいほう。
将門記(940頃か)「便ち国庁の西方の陣を開き、彼の介を出さしむ」 〔詩経‐邶風・簡兮

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デジタル大辞泉 「西方」の意味・読み・例文・類語

せい‐ほう〔‐ハウ〕【西方】

西の方角。西の方向。さいほう。
[類語]西洋欧米泰西たいせい西欧欧州南蛮なんばんあちらヨーロッパ

さい‐ほう〔‐ハウ〕【西方】

西の方。せいほう。
西方浄土」の略。

にし‐ざま【西方】

西のほう。西の方角。せいほう。
二条より―に」〈古本説話集・上〉

にし‐かた【西方】

西の方角。
勝負・競技などで、東西に分けた場合、西に陣どったほう。

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日本歴史地名大系 「西方」の解説

西方
にしほう

沖永良部おきのえらぶ島の北西部を占める行政区画。現知名町北部と現和泊わどまり町南西部にあたる。安政四年(一八五七)に従来の間切制に代えて置かれた。所属村は瀬名しにや永嶺ながに田舎平いにやひやー後蘭ぐらる(現和泊町)田皆たんにや馬鹿ばーじま島尻しまじり下城しもじろ上城かみしろ久志検ぐしきぬ赤嶺あーにの一一ヵ村。与人役所は上城に置かれた。明治三年(一八七〇)一〇月各方役所において人別改が行われた。

西方
にしほう

近世、西間切に置かれた行政区分。現瀬戸内町の北西部と、加計呂麻かけろま島北部の大島海峡側にわたる。「大島私考」によれば、西間切が広大であるために置かれた区分で、村数一五ヵ村、与人と間切横目各一名を配した。また方の高頭一千三六〇石余で、納米五六〇石余。「南島雑話」では瀬相すいそ村を除いた一四ヵ村となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「西方」の意味・わかりやすい解説

西方
にしかた

栃木県西部、上都賀郡(かみつがぐん)にあった旧町名(西方町(まち))。現在は栃木市の北端部を占める。旧西方町は1994年(平成6)町制施行。2011年栃木市に編入。東武鉄道日光線と国道293号が通じる。金崎(かなさき)は近世日光例幣使(れいへいし)街道の宿駅として発展し、街道筋の家並みにその名残(なごり)をとどめる。米作を中心に野菜栽培が盛んで、裏作にイチゴのハウス促成栽培が行われる。北部に宇都宮西中核工業団地が造成され、企業が進出している。足尾山地東端部の真名子(まなご)にはゴルフ場も造成され、思(おもい)川沿いの桜堤は県二十勝の一つである。金井の薬師堂にある鉄造薬師如来坐像(にょらいざぞう)は国指定重要文化財。旧西方町の人口は6521(2010年国勢調査)。

[村上雅康]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西方」の意味・わかりやすい解説

西方
にしかた

栃木県南部,栃木市北部の旧町域。足尾山地南東斜面から思川中流域の平地に位置する。1955年西方村と真名子村が合体,1994年町制,2011年栃木市に編入。中世に西方氏が築城した。中心地区の金崎は,近世日光例幣使街道の宿場町であった。米作,イチゴ栽培が行なわれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「西方」の意味・わかりやすい解説

西方 (にしかた)

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世界大百科事典(旧版)内の西方の言及

【極楽】より

…大乗仏教になって多くの仏菩薩が考えだされるようになったとき,それぞれの仏菩薩がそれぞれの浄土をもつという思想が現れた。そのなかでも阿弥陀仏の西方極楽浄土は阿閦(あしゆく)仏の東方妙喜国と並んで特異なものである。《阿弥陀経》によると,阿弥陀の浄土は西方,十万億の仏土を過ぎたところにあり,苦はなく楽にみちているので極楽と名づけられる。…

※「西方」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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