MMT(読み)エムエムティー

デジタル大辞泉 「MMT」の意味・読み・例文・類語

エム‐エム‐ティー【MMT】[Multiple Mirror Telescope]

Multiple Mirror Telescopeアリゾナ州、ホプキンス山頂にある多面反射望遠鏡。スミソニアン協会アリゾナ大学が運営する。

エム‐エム‐ティー【MMT】[Modern Monetary Theory]

modern monetary theory》⇒現代貨幣理論

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「MMT」の解説

MMT

現代貨幣理論、現代金融理論ともいい、Modern Monetary(Money) Theoryから略称をMMTとする。政府が自国通貨建ての借金(国債)をいくら増やしても財政破綻(はたん)せず、インフレもコントロールできる。したがって、借金を増やしてでも積極的に財政出動すべきだとする理論。近代経済学では非主流であるポスト・ケインズ派からさらに派生した新しい理論で、標準的な理論体系を持つには至っていない。マクロ経済学では異端学説であるが、先進国の金融政策が限界に近付いていることから注目される。米国ではMMTの妥当性について経済学者だけでなく民主党の一部も巻きこむ大論争となり、日本でも一部の政党がこの理論を奉じるなどして議論を巻き起こしている。
経済学の主流派の多くは、財政赤字の拡大は金利上昇を招き民間投資を抑制するとして、財政再建基調とするが、MMTはこれを真っ向から否定する学説である。MMTでは、主要な通貨を発行する国においては、過度なインフレが発生しない程度までならば、財政赤字が増えても問題がないとする。したがって、財政赤字を恐れず景気対策に大規模な支出をすればよく、生産力のある限り経済を拡大できる。赤字がいくら増大しても、自国通貨を発行している限りは、債務返済に充てる貨幣を自在に創出できるのだから、デフォルト(債務不履行)に陥ることがないという。この背景には、現代貨幣は(政府の)負債であると規定することがある。政府は通貨単位を法で定め、この通貨単位を表した貨幣を租税の支払い手段と定める。将来において国民は政府の徴税権に対して貨幣を引き渡すことで納税義務を履行する。すなわち、政府の徴税権力が通貨の価値を担保するというものである。貨幣は負債だから、銀行が民間に貸し出しを行えば、負債が拡大しマネーストックが創造される。したがって、貨幣は経済の内部の貸借で生まれる内生的なものであり、中央銀行はその量を直接操作することはできない。また、政府は税収とは無関係に国債の発行を通して任意に財政支出量を調整できる。ただし、あまりにも大量の国債を発行すると、貨幣は負債なのだから貨幣の量が大幅に拡大し、過剰なインフレを招く。そこで、適切な国債発行を続けることで、需要が拡大し望ましい程度のインフレに導けるという理論的帰結に結びつく。ここで、租税と債券発行を調節することで、通貨価値と物価を適度に調整できるという説である。
日本は巨額の財政赤字を抱え、政府債務残高対GDP(国内総生産)の比率はギリシャをも上回り、先進国中では異例の水準にあるが、金利上昇も国債市場の不安も起きてはいない。また、日本銀行は莫大(ばくだい)な国債を買い続けているがインフレやハイパーインフレは起きていない。MMTの提唱者の一人であるニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は、こうした日本の財政を取り上げて、MMTが正しいことを証明したと主張した。ただし、政府、日銀はそのようなつもりはまったくなく極論に過ぎないとして財政健全化が重要であるとしている。

(金谷俊秀 ライター/2019年)

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内科学 第10版 「MMT」の解説

MMT

manual muscle testing,徒手筋力試験

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のMMTの言及

【天体望遠鏡】より

…この型式はマルチミラー望遠鏡(multiple mirror telescope。略してMMT)と呼ばれ,アメリカのホプキンス山に4.5mMMTが建設された。1980年代に幾多の改良が加えられ,現在も6.5mに改装中である。…

【マルチミラー望遠鏡】より

…MMTともいう。天体望遠鏡は微光の天体からの光を集める装置であり,集光力は口径の2乗に比例する。…

※「MMT」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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