最新 地学事典 「Q」の解説
キュー
Q
(1)quality factorの頭文字をとったもので,物質の弾性体としての質を表す無次元のパラメーター。完全弾性体ではQ=∞となる。ある物体に外力により角周波数ω,振幅Aの正弦振動A sinωtを与えたのち,この力を取り去ると,振幅は指数関数的に減少し,外力を取り去ってからτ時間後にはAe-ετ(ε:定数)となる。このとき,この物体をつくる物質のQはω/2εで与えられる。地球の地震波に対するQは実体波,表面波の振幅減衰やスペクトル変化から調べられている。P波に対するQをQα, S波に対するQをQβとすると,周期1~数百秒にわたって,下部マントル(1,000km以深)ではQα>5,000, Qβ>2,000。上部マントルではQα≈200~300, Qβ≈100~200。ただし,上部マントルのQには大きな地域性があり,大きい所では1,000以上,小さい所では100以下の所もある。周波数依存性や深さについての詳しい分布はまだわかっていない。ある物質の温度が高くなったり,一部分が溶融したりすると,その物質のQは急激に小さくなる。この意味でQの値の地域性は構造の地域性と密接な関係をもつ。火山地域や低速層のある深さではQが異常に小さく,深発地震帯ではQが異常に大きくなっている。[金森 博雄]
(2)Q-systemと呼ばれる岩盤分類法で,ボーリング掘進長当りの10cm長以上のコアの比率(%)を示す指標RQD(Rock Quality Designation)に,不連続面や水・応力の状態による評点を乗じたQ値(Q-value,Q-index)を基準とし,トンネルや地下空洞の設計をする。
執筆者:小出 仁
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

