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数学 すうがく mathematics

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6件 の用語解説(数学の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

数学
すうがく
mathematics

最も普通には,「数および図形についての学問」と定義され,人類文化の発生期にはすでに現れている学問。その後さまざまな地方で多様な発展を経過し,17世紀にいたって解析学が創始され,18世紀には自然科学や技術との広範な結びつきを得て,それらの発展を支えた。

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デジタル大辞泉の解説

すう‐がく【数学】

数量および空間図形の性質について研究する学問。算術代数学幾何学解析学微分学積分学などの総称。
学校の教科の一。数学科。「数学の教師」

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百科事典マイペディアの解説

数学【すうがく】

数や図形を研究する学問の総称。初等数学としての算術代数学(おもにインドアラビアで発達),幾何学ギリシアユークリッド集大成)が一応の完成をみた後,17世紀のデカルトによる解析幾何学ニュートンライプニッツによる微積分学の創始により近代数学が展開。
→関連項目位相幾何学関数論算数

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世界大百科事典 第2版の解説

すうがく【数学 mathematics】

今日の先進文化圏の日常生活は本質的に科学技術に依存している。それをさほど目だたぬところで背後から支えているのが数学である。例えば都市生活の基盤となっている電気,ガス,水道,道路,あるいは鉄道,自動車航空機などの交通機関,電話,テレビなどの通信機関人工衛星コンピューターなど,いずれも数学を用いずに設計製作することはできない。数学はこのように文化生活の基礎をなすものであるが,それ自身高度な学問として研究され,世界の数学者の協力により絶えず進歩を続けている。

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大辞林 第三版の解説

すうがく【数学】

古くは数に関する学問、すなわち算術の意。現在では数・量および空間に関して研究し、さらに抽象的な概念を扱う学問になっている。 〔一九世紀に中国の洋学書で英語 mathematics の訳語として用いられた。日本では「英和対訳袖珍辞書」(1862年)に載る〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

数学
すうがく
mathematics

数学は、物を数えたり、測ったりすることに始まる、数・量・図形などに関する学問である。われわれは日常、数学となんらかのかかわりをもちながら生活している。今日のように、経済組織、科学技術の高度に発達した国家・社会では、家計簿、銀行通帳など日常生活に直接かかわる部分から人工衛星の軌道計算に至るまで、数学は広がりと深みにおいてその影響力をいっそう増してきている。
 歴史的には、土地測量や商業や金銭取引、航海や暦の計算、教会や宮殿の建設など、実用上の必要から用いられ発展してきた数学は、一方では自然現象の法則性を解明するための基本的方法およびその強力な手段を提供してきたが、その理論が実用に結び付くことをつねに意識して研究されてきたわけではない。むしろ数学に内在している論理に対する純粋に知的な好奇心からの研究が、往々にして独創的な理論を生み出してきた例が多い。これは数学が、芸術にも似た創作的な分野であることによる。つまり、人間精神の一つの表現としての数学は、論理的厳密さ・簡潔さへの志向性と美的完成への願望が反映されているものであり、その基本的要素は、論理と直観、解析と構成、一般性と個別性からなる。これらの対抗する力の相互作用およびそれらの統一への苦闘が、数理科学としての生命力や有用性を生み出しているのである。[野口 廣]

数学の扱う対象

数学は、数学をそれ自身として研究する純粋数学と、力学・物理学など、他分野の科学からの要求に応じて数学を研究する応用数学に分類される。純粋数学に含まれる部門は、数学基礎論、数理論理学、集合論、代数学、群論、整数論、幾何学、微分幾何学、代数幾何学、トポロジー(位相幾何学)、解析学、複素関数論、関数解析学、関数方程式論、特殊関数、数値解析および確率論などである。応用数学は、グラフ理論、組合せ理論、統計数学、計画数学など、力学・理論物理学からの応用を目ざす数学が含まれる。数学教育の立場からみたときの数学は、幼児数学、初等数学(算数)、中学校数学、高等学校数学(代数、幾何、微積分など)、大学教養数学(線形代数、解析学など)および専門数学に分類され、専門数学は前述の純粋数学および応用数学を含めていう。今日の数学の扱う対象は、前記のように分類することができるが、その内容と力点の置き方が時代とともに大きく変化してきたのはいうまでもない。
 たとえば、図形のとらえ方についてみてみよう。古代エジプトやバビロニアでは、古くから図形に関するかなりの知識をもっていた。それを幾何学として、理論的体系をもつ学問に発展させていったのはギリシア人である。ギリシア人たちは、三角形、四角形などの多角形や円周などの単純な図形の長さ、角、面積をさまざまに研究した。ピタゴラス(前500ころ)は、すでにバビロニア人たちに知られていた直角三角形の性質を、三平方の定理(ピタゴラスの定理)として確立し、その証明を与えた。また、ユークリッド(前300ころ)の『ストイケイア』(『幾何学原本』または『原本』)は、定義と五つの公理を基に厳密な推論を積み上げる方法をとり、幾何学は純粋な演繹(えんえき)体系の学問として確立されるに至った。この時代をやや下って、アルキメデス(前250ころ)やアポロニオス(前230ころ)は、平面における円、楕円(だえん)、放物線と立体、円柱や直円錐(えんすい)へとその研究対象を多様化させたが、力点を置かれていたのは、依然としてそれらの図形の面積・体積の計算であった。こうして、日常生活に必要な図形的研究のほとんどは、このギリシアの時代に完了したといえるほど深められていた。
 他方、プラトン的精神は、幾何学において作図用の道具として許されるものが、定規とコンパスのみであるとするような厳格な規則を要求した。たとえば、次のギリシアの三大作図問題がそれである。「定規とコンパスのみを用いて(1)任意の角を3等分せよ。(2)与えられた立方体の体積の2倍の体積をもつ立方体を作図せよ。(3)与えられた円と等面積の正方形を作図せよ」。ギリシアの数学者たちの興味をひいたこの問題を解くために多くの数学者たちが挑戦したが、その試みはすべて失敗し、やっと19世紀に入ってから、この三つの問題の作図不能性が、幾何学的考察によってではなく代数的考察によって証明されることになる。
 芸術が数学に影響を与えた例として特筆されなければならないのは、15~16世紀ルネサンス期の絵画・建築と幾何学の関係である。イタリアのレオナルド・ダ・ビンチや、ドイツの画家デューラーによって用いられた遠近法(透視画法)の手法を取り入れて、フランスのデザルグやパスカルは射影幾何学を創始した(17世紀)。射影幾何学は、射影と切断で不変な図形の性質を研究しようとするもので、ユークリッド幾何学と趣(おもむき)を異にする。ユークリッド幾何学においては、図形は完全なものとして与えられており、そのあるがままの性質を研究することが大きな意味をもっていた。したがって、ユークリッド幾何学では図形を変える性質の研究は視野には入っていなかったのである。ところが、射影幾何学では逆に、線分の長さ、角、平行などの概念は意味をもたない。
 19世紀に入って、同じようにユークリッドの平行線公理の否定のうえにたちながらも矛盾のない体系をもつ非ユークリッド幾何学が発見・創始される。また、たかだか二次曲線の範囲にとどまっていた図形の研究は、ニュートン、ライプニッツによる微積分法の確立を経て、空間の中の滑らかな曲線や曲面としての図形を扱う微分幾何学へと発展する。
 他方、18世紀のドイツの数学者オイラーの先駆的研究によって新たな光を与えられた図形は、「位相」という概念を通して研究されるようになる。そして、20世紀、図形は集合に位相を与えたものとして一般化され、あらゆる数学的対象は位相空間として把握されるに至った。現在、位相幾何学ともよばれるトポロジーによって、図形の位相的に不変な性質の研究がなされているが、これは、ギリシアの時代から遠く隔たった現代数学の、さらに一般性と抽象性を付け加えた形での図形の研究といえよう。[野口 廣]

数学と他の学問との関係

中学校数学では数の四則演算と初等ユークリッド幾何学を教えるが、これらは、日用諸算としてわれわれの日常生活になくてはならない道具となっている。他方、高等学校以上の数学で教える二次方程式の解(かい)の公式などを考えてみればわかるように、数学とわれわれの日常生活との直接的関係はあまりないともいえる。こうしてみると、数学という学問の全体が目ざしているものと、われわれとは無縁のようにも思えるかもしれない。ここでは、数学と他の学問との密接不可分な関係をみることによって、間接的にではあるが数学と人間の関係のありようをみてみよう。
 ユークリッドの『原本』は、のちに、その第五公理(平行線公理)を別の公理に置き換えた非ユークリッド幾何学が可能であることが発見されたにしろ、それは、純粋な演繹を通じて壮大な体系を築き上げるという学問の典型を提示した。ユークリッドの美しい幾何学の体系のなかには、定義と公理を前提とする論理だけで組み立てていこうとする現代数学の精神がすでに宿っていたのである。この事実は、ヨーロッパ思想に長らく影響を与え続けたギリシアの哲学者プラトンのことば、「幾何学は測地術にあらずして神性への第一歩である」によく示されている。数学はまず、哲学を含む諸学のあるべき姿をわれわれに示したのである。
 ヨーロッパにおける近代数学は、商業資本に奉仕する商業算術から出発し、16世紀カルダーノやフェッラーリの代数学、17世紀デカルトの解析幾何学、ニュートンやライプニッツの微積分法などによって、古代・中世の古い殻を脱ぎ捨てて近代の衣をつけていった。カルダーノやフェッラーリは、三次および四次の方程式の根を求める努力を続けたが、その時代において、三次・四次方程式の根を求めなければならない差し迫った必要性は特別考えられない。したがって、彼らの研究は、純粋に知的興味あるいは遊戯的興味から発したものと考えられる。数学はこのように、遊戯ないし娯楽の対象として人間に関係してくる面もあるのである。
 近世哲学の父といわれるフランスのデカルトは、その著『方法序説』のなかで、数学だけはいろいろな学問のうち、もっとも明白な真理を示すと認められる、という意味のことばを述べている。若いころから自然研究に数学を用いた彼は、数学的自然の研究を深め、この自然観に基づく全自然学の改革とこれを支える哲学の確立とに努めた。幾何学的図形を座標によって示す解析幾何学の方法は、デカルト哲学にふさわしいものであり、これはやがて微積分法を生み出す要素になっている。数学はデカルト哲学、広く近世哲学にとって不可欠なものであった。
 また、ドイツの哲学者であり、今日使われている微積分の記号を導入したライプニッツは、その論文「結合法の理論」を、「すべての理論的真理をある種の計算に還元する一般的方法」とよんだが、これは今日の記号論理学の先駆ともみられるもので、ライプニッツの生涯の思想を方向づけたものである。このときから論理学は数学の一分野へ変わり始めたといえる。
 また、17世紀、ガリレイによって地上の機械学として基礎づけられた力学は、ケプラーによる天体の力学的研究に発展し、さらにニュートンによって、地上と天上の物体の運動を統一して記述する、より普遍的な力学法則として確立される。こうして、古典力学の完成をみるに至るが、その際の数学の果たした役割は見逃すことができない。この時代、数学は自然科学の単なる末端的な道具ではなく、理論科学に基本的方法を示す学問として、かつ、それを支える不可欠の基盤であることが示された。
 18世紀、オイラー、ラグランジュ、ラプラスらの数学解析は、周知のように今日の応用数学の礎石を形成した。つまり、ニュートンによって確立された力学的自然観のもとで、力学や天文学と結び付いた微積分学は解析力学として発展し、天文学、物理学、工学に奉仕する応用数学となってイギリス産業革命の時代の数学の主流を占めたのである。その応用範囲も、たとえばオイラーは船の運動から月の運動表の作成に至るまで、さらに耳の生理学の研究までも行った。
 19世紀前半のドイツには、代数学、解析学、幾何学の各方面に大きく貢献した大数学者ガウスがいた。彼は、ゲッティンゲン大学在学中の19歳のとき、円に内接する正十七角形の作図に成功し、「このような円分理論における整数論的法則は天文学上のいかなる法則にも劣らず美しい」と歓喜している。このことばは、古代ギリシアにおける数学の研究によって人間の魂を善のイデアにまで高めたプラトンのことばに匹敵し、数学における審美精神の復興を告げるものであり、この精神が19世紀の純粋数学の大発展をもたらしたのである。
 なお、19世紀なかばから、気体分子の運動などミクロの物質の運動を記述する物理学の分野として、統計力学、量子力学が発展していくが、これを基礎づける数学理論としてパスカルのころから始まった確率論も重要な役割を果たしている。[野口 廣]

数学の方法

数学における方法は、いろいろに分類することができるが、ここではその代表的な方法について述べる。
 第一の方法は公理的方法である。公理的方法とは、対象を徹底的に分析したうえで、ある公理を定立し、その公理によって総合していく立場である。ユークリッドにおける演繹の手法は、ピタゴラスの影響のもとに形成されたもので、ユークリッドはまず、すべての図形を分解した。そして、それを三角形にまで分解し、さらに、その三角形を頂点、辺、角などに分解したうえで、点、直線、平面と角の基本概念を論じ、これと現実とのかかわり、たとえば直線は幅のない長さである……、と述べていくが、これは定義の形をとってはいるものの、その性質を公理で規定する無定義概念である。そして、その次にこれらの基本概念間の関連が仮定として述べられていくが、これが公理ともいえるものである。このようにして、たとえばピタゴラスの定理のような諸定理が、一つの総合としてこの公理から論理的に導かれていくのである。
 ところが、長い間、だれもが信じて疑わなかったユークリッドの平行線の公理を否定した非ユークリッド幾何学の新たな展開は、数学者たちに公理の性格について反省する機会をもたらし、公理は理論の前提としての仮定であるという意味に解されるようになった。これを公理の性格として掲げ、それに基づいて理論を展開するのが数学であるとしたヒルベルトは、この思想によってユークリッド幾何学を再編成した。つまり、数学的対象(点、線、数など)はそれ自体がア・プリオリな意味をもつのではなく、それらの意味づけは、それらの相互関係を規定する命題(公理)によってのみ与えられるとしたのである。こうした彼の仕事によって数学基礎論および数理論理学は、確固とした土台を与えられ、形式公理的手法が確立していったのである。
 第二の方法は発生的手法である。幾何学が早くから公理的に扱われたのに対して、数についての理論は、物と物との対応を自明に語るものとして自然に生成され、それに関する定理も、このすでに確かめられた数の性質や数と数との関係を整理して述べるという段階に長い間とどまってきた。たとえば自然数はわれわれが扱う数のなかでもっとも簡単なものであり、物の個数を数えたり、順序をつけたりするのに用いられる。これに対して、一つの正方形の対角線の長さの表すような数があり、これは整数でも分数でも表すことはできない。このような無理数の存在は、ギリシアのピタゴラス学派の数学者を驚かせ、大きな衝撃を与えた。自然数や無理数をすべて含む数である実数の公理的定義や、それに基づく解析学の体系の構築はたいへんに遅れ、ペアノの公理系によって、自然数の集合Nが確立され、その元を自然数と名づけるようになったのは、やっと19世紀に入ってからのことである。
 発生的手法に基づく理論化は、カントルによるパラドックス、「Sはすべての集合の集合である」などを生じ、20世紀に入って、数学とは何かという論議が改めて熱心に交わされた。カントルのパラドックスは「集合論について」の論文において提起されたもので、これは、「すべてのクレタ人はうそつきである」というクレタ人のことばが真であるか偽であるかという4~6世紀のパラドックス(エピメニデスのパラドックス)と同様の問題を含んでいる。パラドックスの生じる原因は、集合という概念を無制限に拡大して用いた点に求められる。この矛盾克服について、主として数学基礎論の立場から、論理主義、直観主義および形式主義による接近が試みられている。
 第三に数学の方法としてあげられるのは、一般化と抽象化である。この傾向は現代数学において著しい。たとえば、一次元、二次元の図形である線分や円板で成り立つ連続写像の不動点定理がみいだされると、これを三次元、四次元、……、そして一般にn次元のある種の図形についても成り立つというブローエルの不動点定理をみいだそうとする。このとき、一次元、二次元の定理はこの一般的定理の特別な場合となる。これが一般化の考えである。この考えは場合によっては有限なnの場合を越えて、角谷(かくたに)の不動点定理のように無限次元の場合にも一般化される。そして、普通、一般化は可能な限り追求される。
 数は、たとえば加法について閉じた体系となっているが、この数の演算についての性質を抽象化(公理化)したものが群である。また、直線、平面、空間という図形は、n次元ベクトル空間へと一般化されると同時に抽象化される。抽象化によって無数のそれぞれの場合の異なる結果がただ一つの定理によって示しうるようになる。
 こうした一般化と抽象化は、とくに現代の抽象数学において顕著である。ブルバキとよばれる数学者グループの手になる現代数学の基礎に関する百科全書的な膨大な著述は一般化と抽象化の金字塔である。ブルバキの構成員であるベーユAndr Weil(1906―98)は、「数学とは人間精神の名誉のためにあるものである」と述べている。
 20世紀の数学は、ガウスによる審美精神の復興の動きと相まって抽象化と一般化の運動が展開され、その前半においては数学固有の活動が広範囲にわたって活発に行われてきた。第二次世界大戦後は、戦時中の数学者の実際的経験に刺激されて、ウィーナーによるサイバネティックス、ノイマンによるゲームの理論、そしてコンピュータの発明によっておこってきたコンピュータ・サイエンスと数学との間に新しい学問をつくり始めている。これらの新しい科学は現在では数理科学とよばれており、この数理科学を通して数学の現代社会に対する関係も大きく変貌(へんぼう)しつつある。[野口 廣]

数学における論理性の点検

以上、大ざっぱに数学における方法について述べてきたが、ここで公理的方法および発生的手法のいずれもが到達した数学基礎論について簡単にみてみよう。論理主義とは、数学を論理学の一分野であるとみなす説で、主としてイギリスの哲学者バートランド・ラッセルによって唱えられた。古くはライプニッツが、論理学こそ他のすべての基礎となる万有科学であるとした(1666)のに始まる。論理学はデーデキントやフレーゲにより論理の算法としてつくられ、ラッセルは「数学のすべては論理学へと還元される」と述べている。ラッセルはホワイトヘッドと協力して、記号を用いた『プリンキピア・マテマティカ』(『数学原理』)を論理学の一部としてまとめているが、この著書を評してワイルは、「数学はもはや論理のうえにではなく、論理主義者たちのある種の楽園のうえに築かれている」と述べている。
 直観主義は、数学的真理や対象が、数学を考えていく意味や内容によって直接にとらえられるものであるという考えにたつ説で、この立場をとる数学者にクロネッカーやポアンカレがいる。無理数を有理数の無限列によって定義し、その無理数の概念に基づいて数学解析を行おうと試みたワイアシュトラースに対して、クロネッカーは整数の直観を重視した。そして、有限的に構成されるもののみの存在を主張したので、直観主義の先駆者とみられている。数学を根本から直観主義的に再構成しようとしたのはブローエルLuitzen Egbertus Jan Brouwer(1881―1966)である。彼はアリストテレス以来の古典的論理の法則に批判を投げかけた。とくに、「AAでないかのどちらかである」という排中律の無制限の使用は不当であると主張、これは、Aか、Aでないかのどちらか一方が正しいことがわかったときにのみ正しいと主張した。したがって、ブローエルは帰謬(きびゅう)法による間接的証明を認めない。また、数学では無限という概念が重要な役割を果たすが、彼の立場では数列0、1、2、……のみが無限へ接近するための唯一可能な開かれた窓となっている。こうして、古典的算術は直観主義に見合うが、古典的解析学はすべてこの主義の批判の対象となる。ブローエルは、直観主義的な解析学と集合論を築いた(1918~24)が、あまりにも複雑で従来のものと異なりすぎていて、とても応用の効かない体系であった。
 形式主義は公理主義ともいう。直観主義の認める範囲を超えて、これまでにつくられてきた古典的数学のある部分をそのまま認めたうえで、徹底的に形式化された数学の公理系の無矛盾性を証明することによって問題を解決しようとするヒルベルトのプログラムをいい、この考えは前述のように数学基礎論の道へと続いている。[野口 廣]
『クーラント、ロビンズ著、森口繁一訳『数学とは何か』(1966・岩波書店) ▽村田全・茂木勇著『数学の思想』(1966・日本放送出版協会) ▽ソーヤー著、芹沢正三訳『現代数学への小道』(1968・岩波書店) ▽ソーヤー著、宮本敏雄・田中勇訳『数学へのプレリュード』(1978・みすず書房) ▽『数学と文化』(『遠山啓著作集 数学論シリーズ6』1980・太郎次郎社) ▽飯高茂他編、小川束・平野葉一著『数学の歴史』(『講座数学の考え方24』2003・朝倉書店) ▽山本芳彦著『数論入門』(2003・岩波書店) ▽M・クライン著、中山茂訳『数学の文化史』上下(1977・社会思想社・現代教養文庫)』

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