世界大百科事典(旧版)内のAgauēの言及
【ディオニュソス】より
…途中,トラキアでエドネス族の王リュクルゴスに迫害されたのを皮切りに,ギリシアの各地で妨害を受けたが,それらはいずれも彼の神威の前には空しい抵抗にすぎなかった。エウリピデスの悲劇《バッコスの信女》(前405上演)は,彼が従兄ペンテウスPentheusの治めるテーバイに来たときのできごとを描いたもので,それによれば,王の母アガウエAgauēをも含むテーバイの女たちが狂乱の信者の仲間に加わって,松明やテュルソスthyrsos(蔦(つた)を巻き,先端に松笠をつけた杖)を振りまわしつつ山野を乱舞し,陶酔の極に達するや,野獣を引き裂いてくらうなどの狂態を示すに及んだとき,彼の神性を認めようとしないペンテウスは,これを阻止せんとして,かえって母親たちにキタイロンの山中で八つ裂きにされたという。このようにしてみずからの神性を世界中に認めさせたあと,彼は冥府から母セメレを連れ戻して彼女とともに天に昇り,オリュンポスの神々の仲間入りをしたとされる。…
【テーベ伝説】より
…彼とハルモニアHarmoniaとの結婚式は,すべての神々が臨席し祝福した盛大なものとされるが,その娘たちには不幸な最期を遂げたものが多い。ゼウスの雷霆(らいてい)にうたれて死につつもディオニュソスを生んだセメレSemelē,わが子ペンテウスを八つ裂きにするアガウエAgauē(エウリピデスの悲劇《バッコスの信女》を参照),海にわが身を投じて果てたイノInōなどである。なおテーベのアクロポリスは,カドモスにちなんでカドメイアKadmeiaと呼ばれたが,ここからは近年バビロニアの円筒印章が出土し,東方との交流のあったことを裏づけている。…
※「Agauē」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」