C60(読み)シーろくじゅう(その他表記)carbon 60

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「C60」の意味・わかりやすい解説

C60
シーろくじゅう
carbon 60

炭素原子 60個よりなる分子フラーレンの代表例となっている。石墨やダイヤモンドと同様炭素の同素体で構成原子は炭素のみであるが,その結合様式は異なり,サッカーボール状の形状 (切頭 20面体) をしている。そのためサッカーボール型分子とも呼ばれる。分子は直径約 7.1Åの中空分子。1970年に大沢映二教授によりその存在が理論的に予言され,1985年に R.F.カール,H.W.クロート,R.E.スモーリーによりヘリウム中でレーザー照射した黒鉛の生成物のなかにその存在が確認された。1990年,ドイツの W.クレッチマーが黒鉛を電極とし,低圧ヘリウムガス中の放電で得られるすすより C60分離精製した。黒色粉末であるが,有機溶媒に溶け,ワインレッドの溶液となる。半導体超伝導体の材料として,その可能性が注目されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android