世界大百科事典(旧版)内のgentlemanの言及
【ジェントルマン】より
…中世末から近代初頭に成立したイギリスの社会層。16世紀以来のイギリスの支配的階層であるが,その具体的な内容は時代によって微妙に変化している。本来のジェントルマンとは,地代収入によって特有の奢侈(しやし)的な消費生活や教養,政治活動を中心とする行動様式などを維持しえた有閑階級のことである。基本的には,公侯伯子男という爵位をもつ貴族と,身分的には庶民であるが,貴族と同様に〈家紋つきコートcoat of arms〉の使用を認められていた〈ジェントリーgentry〉とがその構成員であった。…
【紳士】より
…今日では身だしなみのよい上品な人を広くさすが,本来,搢(縉)紳(しんしん)という中国語からきており,搢紳の士を略したもの。搢(縉)は挿,紳は帯を意味し,官位にある者の象徴である笏を帯に挿していた官吏の代称であったが,近代日本ではジェントルマンgentlemanの訳語として,1879年ころから使われはじめ,やがて定着した。明治初年にはこの言葉はヨーロッパでも特定の身分層をさす概念から,粗野な振舞いのない穏やかで洗練されたマナーの,比較的上層の士を意味する概念になっていたが,日本でも,たとえ官尊民卑の風潮があるとはいえ,四民平等の時代に対応して,上流の官員と商人の双方を一括して呼ぶ適当な言葉として登場,とくに商人については〈紳商〉と呼ばれた。…
※「gentleman」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」