知恵蔵 「JIN-仁-」の解説
JIN-仁-
主人公の脳外科医・南方仁は患者の脳内から奇形腫瘍を摘出するが、それがきっかけとなり幕末にタイムスリップしてしまう。主人公の仁が、満足のいく医療器具の無い中で人々を病気やけがから救い、坂本龍馬など歴史上の人物と交流を持ちながら時代の渦に巻き込まれていく様子を描くヒューマンストーリー。
現代から持ちこんだ医学の知識を使うことで過去の人間の運命を変えることに葛藤を感じつつも、人の命を救うという医師の使命に燃える仁の心模様や、彼を支える人々とのつながりが丁寧に描かれている。更に、歴史上の人物も多く登場し、未来を知りつつも彼らと関わっていく仁の様子が描かれるなど、未来からタイムスリップするというSFの要素以外に、医療、歴史、恋愛などの多くの要素が盛り込まれており、原作のマンガもテレビドラマも人気を集めた。
「スーパージャンプ」では00年9号より連載を開始、10年24号で最終回を迎えた。その後、集英社ジャンプコミックスデラックスとして全20巻が発売されている。11年5月には第15回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。発行部数は11年5月時点で680万部を突破し、第1期ドラマ化発表前の150万部の4倍以上になる。11年5月には重版が決定した。
テレビドラマは、TBS系で09年10月から日曜劇場として第1期の放送が始まる。脚本・森下佳子、プロデュース・石丸彰彦・津留正明、主役の南方仁を大沢たかお、花魁の野風と東京での仁の婚約者・友永未来の二役を中谷美紀、江戸にタイムスリップした際に最初に助けた橘恭太郎を小出恵介、その妹・咲を綾瀬はるかが演じる。また坂本龍馬役に内野聖陽、勝海舟役に小日向文世が出演、緒方洪庵役には武田鉄矢が特別出演している。第5話の視聴率は、このクールに放映された連続テレビドラマの中で初の20%超えを達成、同年12月の最終回は平均視聴率25.3%を記録。09年度連続ドラマの最高視聴率を獲得した。放送終了後、第63回ドラマアカデミー賞最優秀賞、東京ドラマアウォード2010の連続ドラマ部門グランプリ、同アジア賞、同主演男優賞、ギャラクシー賞2009年12月度月間賞、第47回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、第18回橋田賞など国内の賞以外に、ソウルドラマアワーズ、カンヌMIPCOM・バイヤーズ・アワードなど海外の賞も多数受賞、11年2月現在で33冠を達成。
前作の人気を受けて、11年4月から続編が放映された。脚本・森下佳子、プロデュース・石丸彰彦・中井芳彦。主な出演者は前作と同じだが、続編には西郷隆盛役に藤本隆宏、皇女和宮役に黒川智花、中岡慎太郎役に市川亀治郎などを起用。南方仁が歴史上の人物と更に交流を深めていく。11年6月26日に放映された最終回(2時間スペシャル)は、平均視聴率が26.1%、瞬間最高視聴率は31.7%を記録した。
(金廻寿美子 ライター / 2011年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報