Na利尿ペプチドファミリー

内科学 第10版 の解説

Na利尿ペプチドファミリー(心臓血管ホルモンと疾患)

(2)Na利尿ペプチドファミリー
 Na利尿ペプチドには心房性Na利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide:ANP),脳性Na利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP),C型Na利尿ペプチド(C-type natriuretic peptide:CNP)の3種類のリガンドが存在している.3つのペプチドホルモンは,それぞれ異なる遺伝子から生成されるが,アミノ酸一次構造は相同性が高く,遺伝子のエクソン-イントロン関係も類似しており,CNPをアンセスター遺伝子として遺伝子複製で生成されたファミリーを構成している.これら3つのペプチドはわが国の松尾壽之,寒川賢治によって単離精製された.ANPとBNPの受容体は膜型グアニル酸シクラーゼ-A(GC-A)であり,CNPの受容体は膜型グアニル酸シクラーゼ-B(GC-B)である.GC-AとGC-Bのほかに3つのリガンドが結合するクリアランス受容体の3種類が存在する.
 ANPは主として心房で,BNPは主として心室で産生される心臓ホルモンである.CNPは中枢神経系のほか,血管内皮細胞や単球において産生される.ANPとBNPは心臓以外の発現量は心臓と比べるときわめて少量であり,血液中を循環しているANPやBNPはほぼ100%心臓由来である.ANP,BNPの産生は心房あるいは心室への負荷に比例して上昇し,それを反映して血中ANP,BNP濃度は心臓への負荷時に上昇する(Nakaoら,1992).[斎藤能彦]
■文献
Nakao K, Ogawa Y, et al: Molecular biology and biochemistry of the natriuretic peptide system. I: natriuretic peptides. J Hypertens, 10: 907-912, 1992.
Saito Y: Roles of atrial natriuretic peptide and its therapeutic use. J Cardiol, 56: 262-270, 2010 .

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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