世界大百科事典(旧版)内のvijñānaの言及
【意識】より
…古代インドには,霊的,生命的なものを言い表す言葉の一つとして〈意manas〉(英語ではmindと訳される)という語があったし,また原始仏教では,現象界の分類(五蘊(ごうん)説)やその生成の説明(十二縁起説)に関して〈識vijñāna〉という語が用いられ,それによって了別の働きや個性化の原理が意味されていた。大乗仏教の時代には,十二縁起のうちの〈識〉によっていっさいを説明しようとする唯識思想(唯識説)が現れ,その中で,五官にかかわる五識を統一する第六識が〈意識〉と呼ばれていた。…
【ガウダパーダ】より
…彼に帰せられる《マーンドゥーキヤ・カーリカーMāṇḍūkya‐Kārikā》(別名《ガウダパーディーヤ・カーリカー》)には,覚醒時に経験する現象界は,夢で経験する世界と同じく虚妄であり,真実は不二advaitaであり,個我とアートマンは不異であると,不二一元論が初めて明らかに述べられている。後の章になるほど仏教的色彩が濃く,特に最終章では,世界は識vijñānaの顕現したものであると,仏教瑜伽行派の〈唯識無境〉〈識の転変〉説に酷似した説が見られる。《サーンキヤ・カーリカー》の注釈書《ガウダパーダ・バーシヤ》の著者は,同名異人と考えられる。…
【五蘊】より
…行(サンスカーラsaṃskāra)とは,行為を生み出す意志作用をはじめとするさまざまな心的作用をいう。識(ビジュニャーナvijñāna)とは,広く感覚・知覚・思考作用を含んだ認識作用であり,眼識,耳識,鼻識,舌識,身識,意識の六識をいう。【横山 紘一】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」