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意識 いしき consciousness

翻訳|consciousness

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

意識
いしき
consciousness

広義には,われわれの経験または心理的現象の総体をさし,狭義には,これらの経験中特に気づかれる内容を意味する。また,それら多様な経験内容を統一する作用を意味することもあり,きわめて多義的である。

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デジタル大辞泉の解説

い‐しき【意識】

[名](スル)
心が知覚を有しているときの状態。「意識を取り戻す」
物事や状態に気づくこと。はっきり知ること。また、気にかけること。「勝ちを意識して硬くなる」「彼女の存在を意識する」
政治的、社会的関心や態度、また自覚。「意識が高い」「罪の意識
心理学・哲学の用語。
㋐自分自身の精神状態の直観。
㋑自分の精神のうちに起こることの知覚。
㋒知覚・判断・感情・欲求など、すべての志向的な体験。
《〈梵〉mano-vijñānaの訳》仏語。六識八識の一。目や耳などの感覚器官が、色や声など、それぞれ別々に認識するのに対し、対象を総括して判断し分別する心の働き。第六識。

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百科事典マイペディアの解説

意識【いしき】

通常は人が自己または外界についてもつ直接の明証的な認知をさす。デカルトは物の世界とは異なる独自な心の世界(レス・コギタンス)を想定したが,ここから,内省による意識内容の分析を主題とする19世紀の実験心理学が成立した。

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世界大百科事典 第2版の解説

いしき【意識】

古代インドには,霊的,生命的なものを言い表す言葉の一つとして〈意manas〉(英語ではmindと訳される)という語があったし,また原始仏教では,現象界の分類(五蘊(ごうん)説)やその生成の説明(十二縁起説)に関して〈識vijñāna〉という語が用いられ,それによって了別の働きや個性化の原理が意味されていた。大乗仏教の時代には,十二縁起のうちの〈識〉によっていっさいを説明しようとする唯識思想(唯識説)が現れ,その中で,五官にかかわる五識を統一する第六識が〈意識〉と呼ばれていた。

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大辞林 第三版の解説

いしき【意識】

( 名 ) スル
物事に気づくこと。また,その心。感知。知覚。 「 -を集中する」 「人の目を-する」
(混濁・無意識などに対して)はっきりした自律的な心の働きがあること。自覚。覚醒。見当識。 「 -を失う」 「 -が残っている」
状況・問題のありようなどを自らはっきり知っていること。 「罪の-」
〘哲・心〙 〔ドイツ Bewusstsein; consciousness〕
思考・感覚・感情・意志などを含む広く精神的・心的なものの総体。特に対象を認識する心の働き。主観。物質・存在・世界・自然など,客観的なものに対する。現象学では世界を構成する超越論的自我の働き,また唯物論では存在に拘束される観念一般を意識と呼ぶ。
単なる直接的な情意作用や知覚ではなく,自他の在り方自身を察知する明瞭で反省的な心の状態。また,その作用・内容など。自己自身を対象化する対自的・反省的働き,人格あるいは自我による統一・自律,一定水準の明晰めいせきさなどによって規定される。自己意識。
〘仏〙 〔 mano-vijñāna〕 六識の一。感覚器官による眼・耳・鼻・舌・身の五識に対し,心の働き,精神の働きのこと。第六識。
[句項目]

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

意識
いしき
consciousness英語
conscienceフランス語
Bewutseinドイツ語

心理学における意識とは、個人によって体験され、気づかれていることをいう。体験者自身には直接に把握されているが、他者にはその報告を得ない限り直接的には把握できないものである。意識という用語は多義的で、知っていることの内容を意味することもあり、また、知ったり気づいたりの過程を意味することもある。いずれにせよ、意識は主観的なものであり、経験や行動はすべて意識されているとは限らない
 意識されるものと意識されないものとの境界は識閾(しきいき)とよばれる。とくにはっきりと意識することを注意というが、意識の範囲と注意の範囲とは同じ意味で使われる。いわゆる意識調査の意識のように、態度と同義語として使われることもある。この場合の意識とは、主観的に気づいているというよりは、個々の内容の背後にある一貫した傾向を意味する。
 生理学的には、意識は脳幹の網様体から上行する上行性網様体賦活(ふかつ)系および視床の非特殊核から上行する広汎(こうはん)性視床投射系を経た感覚性インパルスimpulse(刺激)によって大脳皮質の興奮性が高められ覚醒(かくせい)しているとみなされる。興奮性のレベルは脳波の波形から判定されるが、もっとも低いレベルでは睡眠状態となり、意識は失われる。[今井省吾]

意識の流れ

stream of consciousness アメリカの心理学者で哲学者のW・ジェームズによって1886年につくられたことばで、意識は流動的で瞬時も停止することがないという意味である。イギリス連想学派からドイツのブントに至る心理学者たちの観察記述した意識は、ある瞬間の断面図にすぎない。実際の経験は個人的な意識の一部として絶えず変化しているし、また、これらの集大成とみられる人格は連続性を保ちつつ絶えず何かを志向している。そして、多数の意識要素のなかからある一群のものだけを選んで統一体を保とうとする。この中核となる意識が自我である。[今井省吾]

意識心理学

consciousness psychology ほとんどの心理学が意識を重要な研究対象としている。にもかかわらず、わざわざ意識心理学ということばが使われることがある。実験心理学の開祖のブントは心理学の体系を建設するにあたって、彼の心理学の重要な方法である内観の適用が不可能な無意識を、心理学の対象から除外した。そして、心理学のおもな任務は意識の内容やその分析であると考え、自分自身の意識を観察し、それを心理的要素に分析する内観法を心理学の主要な研究法としたのである。ブントやその弟子のティチナーの心理学は代表的な意識心理学である。また、イギリスの連想主義心理学は構成要素として観念を考え、観念の連合によって心理現象を説明しようとするから、意識心理学のなかに含まれる。ゲシュタルト派やアメリカ機能主義心理学派は、意識とともに行動や行動の結果(テスト問題への反応)をも研究対象としている。
 一方、精神分析学や行動主義心理学は、意識心理学とは対照的である。精神分析学では意識に上らない心理的過程が仮定され、意識や行動の原因を意識下に求めようとする。フロイトの精神分析学では、ヒステリーは当人の自覚しえない無意識の動機、あるいはコンプレックスによって営まれる非合理的な表出行動であると考えられ、また、精神生活の大部分は無意識によって占められ、意識は氷山の一角にすぎないと考えられた。また、行動主義では、意識は主観的で外から客観的に観察できず、内観法によってのみ観察されるにすぎないとして、心理学の研究対象から除外した。[今井省吾]

意識の哲学

一方デカルト、カント、フッサールに代表される西洋の伝統的近・現代哲学によれば、およそ人間が経験し知るいっさいのものは、意識を通じ、「意識された」ものという形で経験され知られるが、その際、経験され知られるほうのものは、普通、意識の「対象」ないし「意識内容」とよばれ、経験し知る働きの側面は「意識作用」と称される。意識はあらゆる知識の基盤であるがゆえに、その意識を事典的知識の項目として提示するのは絶望的に困難であるが、現代における精緻(せいち)な意識哲学の代表例であるフッサールの現象学によれば、知識(経験)成立の場所である意識の構造契機として、感覚素材的なヒューレhl(ギリシア語で質料の意)とそれを生化する統握(とうあく)つまり意味付与作用との二つの層を含む実的(ドイツ語でレーエルreell)な体験、およびその体験の非実的(ドイツ語でイデエルideell)な相関者との2契機があり、これら両者の相関関係によって意識の「指向性」、つまり「――の意識」であるという意識の対象指向性、対象「の」意識であるという知識的性格が保証される。
 ただし、前記のような意識は、少なくとも知識の対象である限りでの世界(の事物)を「構成する主観性」という意味をもつようになるので、その意識(構成する主観性)それ自身は、構成された対象世界内のできごと(某々の心理)からは明確に区別されねばならない。フッサールは内世界的できごととは区別される対象構成的な意識を、カントの流れをくんで、「超越論的」と規定している。[山崎庸佑]
『フッサール著、渡辺二郎・立松弘孝訳『イデーン』(1979・みすず書房) ▽川田三夫著『意識の心理学』(1983・績文堂)』

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世界大百科事典内の意識の言及

【良心】より

…明治初年以降,《孟子》告子章上の〈良心〉(人間に固有の善心)が,一種の道徳意識としてのコンシャンスconscience(英語,フランス語),ゲウィッセンGewissen(ドイツ語)の訳語として定着するにいたった。近代哲学の中核語はルネサンス期に形成された意識(コンスキエンティアconscientia,その原義は〈共に知ること〉)という術語である。…

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