義経の八艘飛び(読み)よしつねのはっそうとび

故事成語を知る辞典 「義経の八艘飛び」の解説

義経の八艘飛び

身軽に飛び回ることのたとえ。

[使用例] 百面相の鶴丈先生とやらに、こんどは牛若丸かなんかに化けられちゃ、とてもおれにだって八艘飛びゃあできねえんだからな――[佐々木味津三*右門捕物帖 曲芸三人娘|1929]

[由来] 「平家物語―一一」で語られる、みなもとのよしつねの戦いぶりから。海上での戦いとなっただんうら合戦の際、荒武者として知られたたいらののりつねと船の上で鉢合わせした義経は、「長刀脇にかいはさみ、みかたの船の二丈ばかりのいたりけるに、ゆらりととび乗り給ひぬ」とあります。「二丈」とは、約六メートル。さすがの教経も、そんなにも身軽な義経を追いかけるのは諦めて、最後は敵の侍二人を抱えて、海に沈んだのでした。なお、「平家物語」では、義経が飛び移ったのは一回だけですが、後に、次々に八艘もの船を飛び移ったと伝えられるようになりました。

[解説] 相撲では、立ち合いの直後、大きく横に飛んで相手をかわす戦法を、「八艘飛び」と呼んでいます。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

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