ウェンチョウ(温州)特別市(読み)ウェンチョウ(英語表記)Wenzhou

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ウェンチョウ(温州)〔特別市〕
ウェンチョウ
Wenzhou

中国華東地方,チョーチヤン (浙江) 省南東部の市。市区のほか,ロイアン (瑞安) 市と8県から成る。ウェンチョウ湾の湾奥に注ぐオウ (甌) 江河口にある。ウェンチョウ (温州) の名は唐代に始るが,辛亥革命後は永嘉と呼ばれ,人民共和国になって旧称に復した。オウ江流域を後背地として茶や柑橘類,竹材を集散し,またオウ繍と呼ばれる刺繍の産地として知られた。 1876年のチーフー (芝罘) 条約後は貿易港としても発展。市域のほとんどは丘陵山地で,米,豆類,茶,柑橘類,木材,竹材などを産する。特に茶はウェンホン (温紅) 茶,ミカンはウェンチョウ柑の名で知られる。地下資源はロイアン市,ピンヤン (平陽) 県に明礬がある。ろう石の埋蔵も多い。ウェンチョウ市はそれらの産物の集散地,積出港で,織布,製紙製材,食品,各種機械,化学,電線などの工業がある。市街はオウ江南岸に沿い,旧市街は 10世紀に造られた城壁に囲まれる。オウ江の小島には北宋の代に建立された江心寺,南宋の忠臣文天祥の挙兵を記念する文天祥祠がある。北東部のペイイエンタン (北雁蕩) 山は古くから知られる景勝の地。人口 633万 875,うち市区人口 60万 4389 (1990) 。

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