エンキドゥ(英語表記)Enkidu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エンキドゥ」の意味・わかりやすい解説

エンキドゥ
Enkidu

バビロニアアッシリアの英雄ギルガメシュ親友。かつてはエアバニ Eabaniと読まれていた。住民に横暴なギルガメシュを制する目的で,神々により創造された毛むくじゃらの怪人。雄牛同士のような激しい格闘の末,ギルガメシュに敗れたあとで無二の親友となり,ともに杉の森の番人フワワ (あるいはフンババ) 征伐に行く。その後,女神イシュタルの怒りを買い,神々の定めにより 12日間病気で苦しんだのちに没した。

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世界大百科事典(旧版)内のエンキドゥの言及

【ギルガメシュ叙事詩】より

… ギルガメシュはウルクの城主で,3分の2が神,3分の1が人間であった。はじめ暴君だったのでウルクの人びとは天神アヌにこのことを訴え,アヌの命令で粘土から野人エンキドゥEnkiduが創り出される。動物たちに交じって野原にいたエンキドゥはウルク神殿に仕える遊び女によってウルクへ連れてこられ,ここでギルガメシュと力比べをした。…

【人面獣身像】より

…メソポタミアでは超人間的な存在を具現化するために怪獣が創出され,前3千年紀後半のシュメール人の国家,初期王朝末期ごろから,人面と牡牛を組み合わせた像が円筒印章などに刻出された。これは《ギルガメシュ叙事詩》にあらわれる怪人エンキドゥEnkiduと解されている。以後,このような存在(牡牛形怪人)はアッカドを経て,アッシリア,アケメネス朝ペルシアの美術に継承された。…

【乳】より

…サンタ・クロースとして広く親しまれる聖ニコラウスは,乳児のころ,キリストがユダに裏切られた水曜日と十字架にかけられた金曜日には,母の乳房を1度しか吸わなかったと,《黄金伝説》には説かれている。粘土からつくられたエンキドゥは野獣の乳で育ち勇猛だった(《ギルガメシュ叙事詩》)。北欧神話エッダ中の巨人ユミルは乳牛アウズムラの乳に養われた。…

※「エンキドゥ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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