バイダーベック(英語表記)Bix Beiderbecke

改訂新版 世界大百科事典 「バイダーベック」の意味・わかりやすい解説

バイダーベック
Bix Beiderbecke
生没年:1903-31

ジャズ初期に活躍したアメリカの白人コルネット奏者。アイオワ州ダベンポート生まれ。本名Leon Bismark Beiderbecke,通称のビックス・バイダーベックで知られる。幼時からピアノとコルネットを独学でマスターしたといわれるが,15歳ころこの町に来た伝説の名手エメット・ハーティに手ほどきをうけたとも伝えられる。初期の白人バンド,ウォルベリンズを経て,ジーン・ゴールドケット楽団,ポール・ホワイトマン楽団のスター・ソリストとなった。ホワイトマン楽団では高給を得て少なからぬ貯蓄ももっていたが,大不況で財を失い,病魔に侵されニューヨークのクイーンズのアパートで夭折した。アームストロング・スタイルの全盛期に,抒情的で美しい白人的なスタイルを創造し,ジャズを志す若い白人たちに勇気を与えた。彼のピアノ・ソロ・レコードを聴けば,ドビュッシー的な感性がよくわかる。代表作は《ビックス・バイダーベック・ストーリー》(CBS),《ビックス・バイダーベック》(RCA)。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報