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貯蓄 ちょちく saving

翻訳|saving

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

貯蓄
ちょちく
saving

所得の一部分を蓄えること。国民所得上は所得のうち消費されなかったものをいう。所得に占める貯蓄の大きさを貯蓄率 (平均貯蓄性向) という。所得分析上,一国全体で貯蓄=投資バランスは事後的には常に成立するので,貯蓄を供給主体別に分割することによって,投資 (資本形成) を支えている資金源を知ることができる。

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知恵蔵2015の解説

貯蓄

家計調査における貯蓄の範囲には、次のものが含まれる。(1)普通預金など通貨性預貯金、(2)定期預金スーパー定期などの定期性預貯金、(3)掛け捨てを除く生命保険積立型損害保険、(4)株式や貸付信託利付金融債、国債、公社債投資信託などの有価証券社内預金などの金融機関外への貯蓄。負債には、郵便局、銀行、生命保険会社住宅金融公庫などの金融機関からの借入金のほか、月賦・年賦未払高、勤め先や親戚などからの借入金も含む。

(上村協子 東京家政学院大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

ちょ‐ちく【貯蓄】

[名](スル)
財貨をたくわえること。また、その財貨。「将来に備えて貯蓄する」「財形貯蓄
所得のうち、消費されないで残った部分。

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世界大百科事典 第2版の解説

ちょちく【貯蓄 saving】

経済主体が受け取った所得のうち消費されなかった部分をいう。個々の主体にとっては貯蓄は購買力を将来へ移転するという行為であるが,マクロ的には次のような意味あいがある。すなわち,貯蓄を増大させるということはその時点で考えれば,財の消費を減らすということであるから,有効需要(有効需要の原理)を減らし,所得や雇用を減少させる可能性がある。これは今日の発達した経済では貯蓄する主体が将来の消費を増やすために投資を同時に行うという場合が少ないことに依存している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

貯蓄
ちょちく
saving

所得のうち消費に支出されなかった残余の部分をいう。社会の全生産物のうち資本蓄積にあてることのできる生産物は、人々が消費しないで貯蓄した部分にあたる。貯蓄は個人貯蓄、法人貯蓄、政府貯蓄に分類される。個人貯蓄は、銀行預金、生命保険、有価証券、社内預金などによって構成されている。このように個人貯蓄は、換金の難易性を表す流動性、利子や配当の高さによって表される収益性、安全性などが配慮されることによりさまざまな保有形態をとる。法人貯蓄は積立金や準備金などの社内留保であり、自己資本を準備するために行う貯蓄である。現在の社会においては法人貯蓄が大きな比重を占め、資産運用の面からも重要性を増してきている。間接金融から直接金融へのシフトという最近の動きも、この傾向を助長している。政府貯蓄は政府経常余剰のことである。個人貯蓄、法人貯蓄、政府貯蓄を集計すると国内総貯蓄となる。[鈴木博夫]

貯蓄決定の要因

貯蓄が決定される過程には、二つの決定が含まれている。第一の決定は、人々が所得のうちどれだけを消費に支出し、どれだけを消費せずに貯蓄するかという決定である。第二の決定は、貯蓄形態についてであり、貯蓄を具体的にどのような形態で保有するかという決定である。
 第一の決定については、人々が現在の消費による欲望充足と将来の消費による欲望充足をいかに評価するかが問題となる。将来の消費は現在の消費より低く評価されるのが一般的であるが、古典派経済学においては、この評価の相違を補うものが利子と考えられている。換言すれば、現在の欲望充足を抑えて、消費を行わずに貯蓄することに対する報酬が利子であるといえる。したがって古典派経済学においては、貯蓄の大きさの決定にあたって利子率が重要視されていることになるので、貯蓄は利子率を仲介として投資と結び付いていることになる。
 第二の決定については、J・M・ケインズによって強調され、流動性選好説に基づいて説明されている。流動性とは換金の難易性であるから、貨幣は完全な流動性をもつといえる。人々が貨幣を保有する動機には、取引動機、予備的動機、投機的動機がある。ケインズ経済学では、利子率は、この貨幣を保有する動機(とくに投機的動機)に関して把握される。前述したように、人々は貯蓄を銀行預金や有価証券などのさまざまな形態で保有しているが、貨幣を手放して流動性の低い保有形態をとることに対する報酬が利子であると考えられている。このため流動性が低い保有形態ほど高い利子が支払われることになる。したがってケインズ経済学では、貯蓄の大きさの決定では古典派経済学と異なり利子率は重要視されない。貯蓄は所得のうち消費に支出されなかった残余として定義されることから、ケインズ経済学では、貯蓄の大きさの決定にあたっては所得水準が重要視されている。
 所得に対する貯蓄の割合を貯蓄性向という。所得の増加分に対する貯蓄の増加分の割合については限界貯蓄性向が定義される。ある期間の期首において人々が意図し計画する貯蓄を事前的貯蓄とよび、期末において実現された貯蓄を事後的貯蓄とよぶ。流動性選好説で強調された利子率の貯蓄の保有形態に与える影響は、J・トービンにより精緻(せいち)化され、ポートフォリオ理論(資産選択の理論)への発展となっている。
 R・F・ハロッドは、貯蓄を動機別に分類して、個人貯蓄を人々が「老後に備える貯蓄」と「子孫に遺贈するための貯蓄」とし、また法人貯蓄については「事業拡張を図る自己資本を高める貯蓄」としている。人々が老後に備える貯蓄を、その形状からハロッドはこぶ型貯蓄とよんだが、現在では貯蓄のライフ・サイクル仮説として分析されている。この動機によってなされる貯蓄は、最近の年金制度の発達の影響を受けている。社会保障制度の発達は、貯蓄の保有形態にも変化を与えている。法人貯蓄の決定には税制などの制度的要因が大きく影響している。[鈴木博夫]

貯蓄と資本蓄積

古典派経済学では、貯蓄は節約や制欲などを意味し経済的美徳と考えられていた。これは、貯蓄がすぐに投資となって資本蓄積に結び付けて考えられていたからである。将来に備え現在の消費を犠牲にする人々の行為は、社会の生産力増加をもたらすものとされていた。これに対して、ケインズ経済学では、貯蓄と投資の直接的な結び付きは考えられていない。生産力が過剰になっている不況時には、貯蓄に見合うだけの投資機会がなく、貯蓄は保蔵されているにすぎず生産力増加をもたらさない。これを不妊貯蓄とよぶ。反対に生産力に余裕がない場合に投資需要が増加すれば、物価水準が上昇し、人々の実質消費を減少させ、社会全体としてみると貯蓄が発生する。これは強制貯蓄とよばれる。[鈴木博夫]

日本における貯蓄

日本の貯蓄を国民経済計算(System of National Accounts=SNA)の「平成18年度確報」(内閣府)からみてみよう。2006年度(平成18)の国内の可処分所得は412兆4315億円であり、国内貯蓄は31兆1445億円なので、国全体としての貯蓄率は7.6%になる。この数字は1990年代がおおむね10%を上回っていたことを考えると、かなり低下しているといえる。要因としては、景気刺激をねらった政府の財政投資により、政府部門が大幅な投資超過になっていることに加え、家計の貯蓄が大きく低下していることによる。
 ここで家計の貯蓄は1990年代において30兆円を上回って推移していたが、2000年に入ると急速に低下し、2006年度は9兆4726億円になっている。家計の可処分所得も2000年に入り(1990年代に比べて)若干低下しているとはいえ、家計貯蓄額がそれ以上に低下したため、1990年代におおむね10%以上で推移していた家計貯蓄率は、2000年に入り大きく低下し、2006年度には3.2%になった。
 このような家計貯蓄率の低下は、2000年に入ってからの労働分配率の低下が影響していると考えられる。つまり、ITバブル崩壊の影響で景気がきわめて悪かった2002年度以降、企業の業績は徐々に回復した。しかし、「景気回復に力強さが感じられない」、または、「将来に対する景気における不安要因が払拭(ふっしょく)されていない」などを理由に、企業部門は内部留保を厚くし、労働分配率を低下させたため、家計可処分所得は増加しない状態が続いた。しかも、それまで継続していた日本銀行による金融緩和政策(1999年からゼロ金利緩和政策、その後、2001年に量的緩和政策を行っていた)の効果も、そのころから徐々に浸透し、若干の景気回復も手伝って、消費者物価も継続して0%を上回るようになっていった。このように家計部門は可処分所得が増えないなかで物価が上昇したことから、可処分所得に占める消費の割合が高まり、家計貯蓄率が低下したと考えられる。加えて、2000年に入り顕著になってきている少子高齢化の影響も考えられる。つまり、ライフ・サイクル仮説から説明されるように、少子高齢化になった社会においては、高齢化世帯の貯蓄取崩しと若年労働者の減少に伴う貯蓄の減少が同時に進行するため、家計貯蓄率は急速に低下することになる。このような少子高齢化の影響もあり、近年の日本における家計貯蓄率は大きく低下したと考えられる。
 しかし1990年代では「日本の家計貯蓄率は世界的にみて高い水準である」ということで知られていた。実際、経済協力開発機構(OECD)によれば、1990年時点、ドイツ・フランスを抜いていた(日本13.9%、ドイツ13.7%、フランス9.4%、アメリカ7.0%)。しかしその後、2000年時点でドイツ・フランスともに抜かれ(日本8.6%、ドイツ9.2%、フランス12.0%、アメリカ2.3%)、2008年および2009年の予想ではアメリカとの差が1%ポイントくらいに迫るまで低下することになった(2008年=日本2.6%、ドイツ10.9%、フランス12.3%、アメリカ1.8%。2009年=日本2.6%、ドイツ10.6%、フランス12.3%、アメリカ1.2%)。これは2007年夏にアメリカで起こったサブプライムローン問題により、世界的に景気が低迷するなか、日本でも先行きに対する不透明感が高まり、企業業績が低迷することから、家計の可処分所得が低くなるとともに少子高齢化がますます深刻化することで、日本の貯蓄率がさらに低下するということが要因と思われる。さらに、2008年9月にはリーマン・ショック(アメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん))が起こり、深刻な金融危機のなか、日本経済も大きく影響を受けていることから、このような家計貯蓄率の低下傾向にいっそう拍車がかかる可能性は否めない。
 次に家計貯蓄を金融資産構成の視点より、各国の「資金循環勘定」(Flower of Funds Accounts)から明らかにしてみよう。日本の2008年6月末における家計の金融資産残高は1504兆円である。このうち典型的な安全資産である現金・預金の割合は52.2%である。他方、アメリカの家計金融資産残高は44.3兆ドル(1ドル=100円として、4430兆円)で、このうち現金・預金の割合は13.6%になっている。同様にドイツでは当該割合が33.8%、フランスでは28.8%、イギリスでは26.5%であることから、日本の安全資産の割合が著しく高いことがわかる(ただし、ドイツ・イギリスは2007年第2四半期の値、フランスは2006年末の値であり、以下も同様)。
 保険については日本26.7%、アメリカ30.4%、ドイツ30.0%、フランス36.0%、イギリス55.2%であり、イギリス以外はほとんど同じである。一方、リスク性資産については日本16.8%(うち債券2.9%、投資信託4.4%、株式・出資金9.5%)、アメリカ51.8%(うち債券9.0%、投資信託14.1%、株式・出資金28.7%)、ドイツ35.2%(うち債券9.5%、投資信託12.1%、株式・出資金13.6%)、フランス30.5%(うち債券1.4%、投資信託8.8%、株式・出資金20.3%)、イギリス15.6%(うち債券1.0%、投資信託5.0%、株式・出資金9.6%)である。このように日本のリスク資産の割合は、イギリスと同じくらいではあるが、アメリカと比べればきわめて低く、ドイツおよびフランスと比較しても相当低い値であるといえよう。つまり、日本の家計は欧米主要国に比べて流動性選好が高いことが特徴であり、リスク性資産においても比較的保有比率が低い国であるといえる。このように収益性よりも安全性を求める傾向は近年になってから表れたものではなく、すでに1970年時点から続いているものである。
 日本の金融資産構成における保険のシェアについては、1970年以降一貫して上昇しているものの、1980年以降バブル期前後までは、定期性預金等の安全資産の比重が低下し、かわって有価証券などの高利回り貯蓄商品のシェアが上昇していた。しかし、安全資産のシェアは50%を若干下回った水準であり、レベルとしては相当に高い値であった。しかも、1990年代以降は不況の影響により、将来に対する潜在成長率の低下を見込んで流動性選好が高まったことから、安全資産のシェアが上昇した。その後、小泉純一郎政権によって、「貯蓄から投資へ」という方針により、株式・投資信託の割合は増加したが、世界的にみれば、リスク性資産の割合はまだまだ低い状態にとどまっている。
 本来、リスク性資金は経済成長に欠かすことのできない存在であり、日本においても金融貯蓄商品の多様化および市場の整備により、社会的な資金効率化を図るべきである。しかし、日本の家計部門の貯蓄形態においては、前述のように歴史的に安全性および流動性選好が強いうえに、昨今の金融危機で世界的な景気減退が懸念されるなかだけに、リスク性資産の割合が、今後、高まりをみせる可能性は少ないように感じられる。[前田拓生]
『J・M・ケインズ著、塩野谷九十九訳『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1941・東洋経済新報社) ▽館龍一郎・浜田宏一著『金融』(1972・岩波書店) ▽原司郎著『現代金融論』(1976・日本経済評論社) ▽原司郎編『テキストブック金融論』(1980・有斐閣) ▽富永健一・真々田孝夫編著『日本人の貯蓄』(1995・日本評論社) ▽チャールズ・ユウジ・ホリカワ、浜田浩児編著『日米家計の貯蓄行動』(1998・日本評論社) ▽総務省統計局『全国消費実態調査報告――主要耐久消費財、貯蓄・負債編』(2001・日本統計協会) ▽前田拓生著『銀行システムの仕組みと理論――地域を支える中小企業金融の理解のために』(2008・大学教育出版) ▽内閣府政策統括官室(経済財政分析担当)編『日本経済2007‐2008――景気回復6年目の試練』(2008・経済産業調査会) ▽OECD OECD Economic Outlook No. 83(2008, OECD Publishing)』

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世界大百科事典内の貯蓄の言及

【投資】より

…現実の在庫投資の変動は,短期の景気循環を鋭敏に反映し,景気循環の局面を在庫投資の変動の様相でとらえることが広く試みられている。 国民経済全体としての投資の資金の源泉は原則として貯蓄である。したがって,国民経済全体としての貯蓄の大きさによって当期の投資の総額は決定される。…

【有効需要の原理】より

…これに対して,民間投資は将来の見通し等に基づいて企業によって決定され,政府支出は政策的に政府によって決定され,ともに国民純生産の大きさには直接依存しないから,両者の合計を独立支出とよぶことにすると,総有効需要は民間消費支出と独立支出の和としてとらえられる。国民所得と消費の差額が貯蓄であり,国民所得の増加とともに貯蓄も増加するから,国民純生産が増加するとき,それに見合う総有効需要が生みだされるためには,貯蓄の増加を埋めるように独立支出が増加しなければならない。いいかえれば,国民純生産の大きさは,独立支出が与えられているときには,それに等しい貯蓄の生みだされるレベルに決定され,独立支出が増加すれば,それと同額だけ貯蓄が増加するレベルまで増加する。…

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