日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ムラド(Ferid Murad)
むらど
Ferid Murad
(1936―2023)
アメリカの医師、薬理学者。インディアナ州ホワイティング生まれ。1958年デポー大学を卒業。1965年ケース・ウェスタン・リザーブ大学で博士号を取得。1965~1967年マサチューセッツ総合病院で臨床研修。1967年より国立心臓・肺・血液研究所に勤務。1975~1981年バージニア大学教授、1981~1989年スタンフォード大学教授。アボット・ラボラトリー社副社長、分子老人病学株式会社社長を経て、1997年テキサス大学教授となる。
ニトログリセリンによる血管拡張作用のメカニズムを研究。ニトログリセリンの投与でまず一酸化窒素NOの放出がおこり、NOによりサイクリックグアノシン三リン酸(cGMP:cyclic guanosine monophosphate)産生酵素が活性化、cGMP濃度が上昇して血管平滑筋を弛緩させていることを明らかにした。気体であるNOが情報伝達物質として機能していることを発見した功績により、L・イグナロ、R・ファーチゴットとともに1998年のノーベル医学生理学賞を受賞した。
[馬場錬成]
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