気体(読み)きたい(英語表記)gas

翻訳|gas

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

気体
きたい
gas

(1) 物質の集合状態の1つで,圧縮およびずれに対する抵抗が小さく,特に膨張に対してはまったく抵抗を示さず,無限に体積を増大しようとし,体積も形も一定でない状態をいう。ガスともいう。物質は一般に高温,低圧では気体となり,気体を冷却または圧縮すれば凝縮して液体となる。構造論的には,気体を構成する原子や分子は互いに離れて分布し,互いに衝突する以外にはほとんど力を及ぼし合わないで自由に運動している。 (→分子運動論 ) (2) 相互作用が弱い微粒子の集団を一般に気体またはガスと呼ぶことがある。これらは統計力学において通常の気体と同様に論じられるからである。金属電子論において自由電子は電子ガスとみなされる。また粒子の従う統計に応じてフェルミ気体,ボース気体と区別される。また陰,陽のイオンの希薄な集団をプラズマガスという。

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デジタル大辞泉の解説

き‐たい【気体】

物質が示す状態の一。一定の形・体積をもたず、流動性に富むもの。分子間の引力は小さくて分子が自由に運動でき、体積は温度に比例、圧力に反比例して変化する。ガス。ガス体。→液体固体

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百科事典マイペディアの解説

気体【きたい】

ガス。物質の状態の一つ。自ら広がろうとする性質をもつことが特徴で,従って容器内全体に広がり,一定の形や体積をもたない。物質は一般に高温低圧で気体になる。液体に比べ密度が小さくて圧縮しやすく,また拡散は速いが粘性熱伝導率は小さい。高温低圧の気体の性質は理想気体に近いが,実在の気体にはファン・デル・ワールスの状態方程式が当てはまる。気体の種々の性質は気体分子運動論から説明される。
→関連項目ガス気体温度計固体

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世界大百科事典 第2版の解説

きたい【気体 gas】

物質の示す状態の一つで,比較的高い温度,低い圧力の場合に実現する。気態とも書く。気体は,固体や液体と違って一定の体積をもたず,容器に入れるとこれを満たし,つねにみずから広がろうとする性質をもつ。気体の密度は,固体,液体における値より小さい。また,気体は,固体,液体と違い容易に圧縮することができる。液体固体
【気体に関する研究の歴史】
 水を熱すると水蒸気になり,冷やすと氷になることは古代人にも認識できた現象であろう。

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大辞林 第三版の解説

きたい【気体】

物質の集合状態の一。流動性に富み、密度が低く、定まった形がなく、容器中ではその内部全体に広がる物体。圧力によって体積を容易に変える。ガス。ガス体。 → 固体液体

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

気体
きたい
gas

物質の集合状態の一つで、液体とともに流体とよばれる。それは、体積を一定に保ったまま形を変えるときの弾性すなわち剛性をもっていない。同じ流体とはいっても、気体は液体と違って自由表面をもたない。したがって気体の体積は容器の体積と一致する。気体はどのような種類のものでも、化学反応をおこす場合を別として、まったくよく混じり合い、水と油のように2相になるというものはない。それゆえ、混合気体であるか純粋気体であるかは、化学分析をしなければ区別しがたい。気体は固体や液体と比べてはるかに容易に圧縮することができる。気体の体積と圧力とは、温度を一定に保っておくと互いに反比例する(ボイルの法則)。また圧力を一定に保つと、体積は温度1℃上がるごとに、0℃のときの体積の273分の1ずつ増大する(シャルルの法則)。これを組み合わせると
  pV=c(t+273)
と書ける(tは摂氏の温度)。多くの気体はだいたいこの法則に従うが、厳密に従うわけではない。厳密に従う気体を仮定して理想気体という。理想気体は実在する気体ではないが、まったくの空想的なものではない。気体のもつもっとも基本的な特徴を純粋な形で抜き出したものである。それゆえ、現実の気体はある近似でボイル‐シャルルの法則に従う。これから大きく外れるのは、たとえば液化がおこるときのように、気体が気体でなくなるときである。分子論的にいえば、分子が大きさをもたず、相互作用がなければ理想気体としてふるまうはずである。気体が、その構造上、液体や固体と違うのは、分子間の距離が分子の大きさに比べて著しく大きく、分子間の相互作用がほとんど無視できるということである。この特徴を端的に表したものが理想気体である。理想気体について、T=t+273.2という温度尺度Tを新たに導入すれば(ケルビン温度目盛)、pV=cTと書ける。さらに分子量をmとしたときmグラムの気体、すなわち1モルの気体をとれば、気体の化学的種別に関係なくcは一定の定数である。これを気体定数という。このことは、一定圧力・一定温度の下で1モルの気体は、その分子がなんであろうとも一定体積を占めるということを示している。実際に0℃で近似的に理想気体と考えてよいような酸素、窒素、水素、ヘリウムなどの気体では、1気圧で22.4リットルの体積をもつ。このことを使えば、ある温度・ある圧力の下での気体の体積をたやすく計算することができる。
 現実の気体は適当な方法でそれを液化することができる。二酸化炭素(炭酸ガス)、プロパンなどは、単に圧力を加えるだけで液化されるが、酸素、窒素、水素、ヘリウムなどは、常温でどのように圧縮しても液化することができないので、かつては永久気体の名でよばれたこともあった。しかし、それらの気体も、それぞれの臨界温度以下に下げておいて圧縮すれば液化することがわかった。前記の二酸化炭素やプロパンは、その臨界温度が常温より高いので、常温で圧縮して液化することができる。それゆえ、気体にそれぞれ固有の臨界温度があることがわかれば、永久気体ということばは無意味となる。気体を十分冷却することができれば、1気圧でも液化する。1気圧の下での液化温度すなわち沸騰点のもっとも低いのはヘリウムであって、それは絶対温度4.2K(すなわちマイナス269℃)である。このような物質は広い温度範囲にわたって理想気体とみなされる。
 きわめて高密度の気体は、それが自由表面をもたないことから気体とよんでもよいが、物性的には液体と考えたほうがよいともいえる。このように考えると、臨界温度以上で気体を強く圧縮すると、連続的に気体から液体へと変わったのだということもできる。
 気体ということばは、いままでの説明とは違って、相互作用を無視しうるような粒子系一般に拡張しても使われる。相互作用が無視されるようなフェルミ粒子、ボース粒子の系に対して、フェルミ気体、ボース気体ということばが使われ、また金属内の伝導電子(フェルミ粒子)の多体系はしばしば電子気体とよばれる。[宮原将平]

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