問民苦使(もみくし)(読み)もみくし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「問民苦使(もみくし)」の意味・わかりやすい解説

問民苦使(もみくし)
もみくし

令外官(りょうげのかん)の一つ。「もんみんくし」とも読む。奈良時代に、民苦を巡問し、貧病、飢寒を救済するために派遣された臨時の職。橘奈良麻呂(たちばなのならまろ)の変の翌758年(天平宝字2)、京畿内(きない)および七道諸国に派遣された。このとき京畿内使に従(じゅ)五位下石川豊成(いしかわのとよなり)、東海東山道使に正六位下藤原浄弁(じょうべん)、北陸道使に正六位上紀広純(きのひろずみ)、山陰道使に正六位上大伴潔足(おおとものきよたり)、山陽道使に正六位上藤原倉下麻呂(くらじまろ)、南海道使に従六位下阿倍広人(あべのひろんど)、西海道使に正六位上藤原楓麻呂(かえでまろ)を任命。さらにこれら長官の使(し)の下に、東海東山道には判官(はんがん)1人、書記官の録事(ろくじ)2人が、京畿内および他の五道には道ごとに録事1人が、それぞれ配属された。

[渡辺直彦]

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