栲領巾の（読み）タクヒレノ

デジタル大辞泉

たくひれ‐の【^×栲領^＝巾の】

［枕］
１ 領巾ひれの色が白いところから、「白」「鷺さぎ」にかかる。
「―白浜波の寄りもあへず」〈万・二八二二〉
２ 領巾を首にかける意から、「かけ」にかかる。
「―かけまく欲しき妹の名を」〈万・二八五〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

たくひれ‐の【栲領巾の】

枕

① 栲領巾が白いところから、「白」と同音を含む「白浜波」にかかり、また、羽の色の白い鳥、鷺(さぎ)と同音を含む地名「鷺坂山」にかかる。

※万葉（８Ｃ後）九・一六九四「細比礼乃(たくヒレノ)鷺坂(さぎさか)山の白つつじ我ににほはね妹に示さむ」

※万葉（８Ｃ後）一一・二八二二「栲領巾乃(たくひれノ)白浜波の寄りもあへず荒ぶる妹に恋ひつつそ居る」

② 栲領巾を首にかける意で、「懸(か)く」にかかる。

※万葉（８Ｃ後）三・二八五「栲領巾乃(たくひれノ)かけまく欲しき妹の名を此の背(せ)の山にかけばいかにあらむ」

[補注]「鷺坂山」にかかるかかり方については、さぎの頭に細長い毛が立ち上がっていて、領巾をかけたように見えるからだという説もある。→「ほそひれの（細領巾━）」の補注

出典　精選版 日本国語大辞典