魚住為楽(読み)うおずみいらく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「魚住為楽」の意味・わかりやすい解説

魚住為楽
うおずみいらく
(1886―1964)

大正・昭和の金工家。石川県小松生まれ。本名安太郎、為楽は号である。1904年(明治37)、大阪で仏具製作を山口徳蔵に師事、そのかたわら砂張(さはり)(銅に錫(すず)、鉛を加えた合金)の鈴を製作、ついで砂張の銅羅(どら)の鋳造を独自に研究し、36年(昭和11)帝展および文展に銅羅を初出品、ともに入選し注目を集めた。砂張は硬いうえにもろく、また鋳造には鬆(す)ができやすく、金工材料のなかでも取扱いがむずかしいが、為楽はことにこの砂張を用いた鋳造を得意とし、銅羅をはじめ花入れ、建水(けんすい)などの茶道具に優れた作品を残した。55年(昭和30)重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。砂張の加工技術は孫の安彦(やすひこ)(1937― )が伝承し、2002年(平成14)3代魚住為楽を襲名。同年、人間国宝に認定された。

[原田一敏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例