〆粕
しめかす
釜で十分に煮た魚を締胴器に入れて圧搾し,残った搾粕(しぼりかす)を乾燥して作った魚粕。菜種・荏胡麻(えごま)・綿実油の搾粕もある。江戸~明治期に畿内の綿作をはじめ,菜種・柑橘・藍作などの施肥に利用された。代表的なのは鰯(いわし)粕と鰊(にしん)粕。鰯粕の産地は房総九十九里浜,大分佐伯,伊予が有名で,大坂干鰯(ほしか)市場では1724年(享保9)130万俵をピークに減少,それを補うため鰊粕が登場する。鰊〆粕の生産は寛政期に本格化し,茶・桑・藍・田畑作に用いられた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
世界大百科事典(旧版)内の〆粕の言及
【魚肥】より
…生産,消費は昭和10年ころが最高であったが,第2次大戦後のイワシ,ニシンの漁獲高激減などにより生産量は減少した。魚肥は[ほしか](干鰯)とイワシやニシンの〆粕(しめかす)(油をとった残り粕)が主であったが,最近は魚類の加工残渣や調理残渣の処理物である荒粕類がほとんどである。後者は魚骨の割合が多いため,窒素含量が低く,リン酸含量が高くなる。…
【魚】より
…魚のうちには霊力があって門口にかけ魔よけとするものもあり,祝宴に用いる魚料理の意味もそこから発したものと思われる。 魚はまた金肥以前の速効肥料として商品作物の栽培に多量に使用され,魚油を採ったあとの〆粕の需要が増し,イワシ,ニシンなどの回遊魚を地引網,揚繰網などでとるために大量の労力需要が発生し,近世における漁業発達の一要因となった。[漁業]【千葉 徳爾】
[シンボリズム,民俗]
魚は初期キリスト教美術および文学において,十字架や子羊や〈[生命の樹]〉などとともに,キリストの象徴として用いられた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」