アケロオス(読み)あけろおす(その他表記)Achelōos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アケロオス」の意味・わかりやすい解説

アケロオス
あけろおす
Achelōos

ギリシア神話の川神。また、アイトリアにある古代ギリシア最大の川。オリンポス以前の古い神々オケアノスとテテュスの子で、3000の川の兄弟の最年長者。太陽神ヘリオスと大地の神ガイアの子、または海神ポセイドンの子ともいわれる。知性の女神メルポメネと交わってセイレンたちを生み、またほかの女神ムーサたちとも交わり、ペイレネ、カスタリア、ディルケ、カリロエなどの多くの泉の父となった。オイネウスの娘デイアネイラとの結婚をめぐってヘラクレス争い、さまざまな姿に身を変えたが、牡牛(おうし)に変身したときにヘラクレスがその角を折ったので娘を譲った。

[小川正広]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のアケロオスの言及

【川】より

…その数が3000といわれる地上の川はすべて,男神でもあるオケアノスが妹の水の女神テテュスTēthysを妻にめとって生ませた息子たちで,オケアニデスŌkeanidesと呼ばれるこれも3000人の水の精たちは,その姉妹とされていた。豊饒の源である反面で好色でもあり,自在な変身の能力をもつと見なされていた河神たちの性質は,その長兄ともいわれるアケロオスAchelōosに関する神話に特によく表れている。彼は牡牛や大蛇などさまざまなぶきみな姿をとって,カリュドンの王オイネウスのところにやって来ては,王女のデイアネイラにしつこく求婚していた。…

※「アケロオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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