デジタル大辞泉 「ヘラクレス」の意味・読み・例文・類語
ヘラクレス(Hēraklēs)
(Hercules)大阪証券取引所(現大阪取引所)が平成14年(2002)に開設した新興企業向けの株式市場。「ニッポン・ニュー・マーケットヘラクレス」の略称。平成12年(2000)に大証とナスダックなどが提携して開設した新興企業向けの株式市場「ナスダック・ジャパン」を改称したもの。平成22年(2010)10月ジャスダック・NEOと市場統合、新「ジャスダック」となった。→新興市場 →ジャスダック
ギリシア伝説における最大の英雄。その名は〈ヘラ女神の栄光〉の意。ラテン名ヘルクレスHercules。そこから英語ではハーキュリーズ,フランス語ではエルキュールという。
ゼウスがアンフィトリュオンAmphitryōnの妻アルクメネAlkmēnē(二人とも英雄ペルセウスの孫)に生ませた子で,彼がテーバイの地で生まれようとした日,ゼウスは妃ヘラに,今日生まれるペルセウスの後裔はアルゴスの支配者となろうと語った。つねづね夫の素行に目を光らせていたヘラはこれを聞くと,お産の女神エイレイテュイアEileithyiaに命じてヘラクレスの誕生を遅れさせる一方,アルクメネの従兄にあたるアルゴス王ステネロスSthenelosの子エウリュステウスEurystheusを先に生まれさせた。彼女はさらに赤児のヘラクレスを殺そうとその揺りかごに2匹の蛇をはいこませたが,将来の英雄はなんなくそれを締め殺した。その後,アンフィトリュオンその他から武芸と音楽を習ってりっぱな若者に成長した彼は,テーバイ南方のキタイロン山にすむライオンを退治して最初の手柄をたて,以後,その皮をまとい,口を開いたライオンの頭を兜にした。次いで,テーバイが毎年貢納の義務を負わされていたオルコメノスの王を倒すと,その功によりテーバイ王クレオンKreōnから王女メガラMegaraを妻に与えられたが,数年後,ヘラによって気を狂わせられ,メガラとの間にもうけた子どもたちを殺してしまった。このため彼は生地を去り,隣国で罪を潔(きよ)めてもらったあと,デルフォイに赴きアポロンの神託をうかがった。すると,アンフィトリュオンの故郷のアルゴスへ赴き,同地の王となっていたエウリュステウスに12年間仕えてその命ずる仕事を成し遂げよ,そうすれば不死を得ようとのお告げがあった。こうして行われたのが有名な〈ヘラクレスの十二功業〉で,それらは以下のごとくである。
(1)アルゴリス地方北部のネメアの森にすむライオン退治。このライオンは怪物テュフォンの子で,矢でも棍棒でも倒せなかったので,腕で締めて窒息させ,皮をはいだ。(2)アルゴスの南のレルネの沼にすむヒュドラHydra(水蛇)退治。これもテュフォンの子で,9頭を有し,その一つを切るとまたすぐ新しい頭が生え出る恐るべき蛇であったが,切り口を火で焼いて新しい頭が生えるのを防ぎつつ退治した。(3)アカイア地方のケリュネイアの鹿の生捕り。女神アルテミスの聖獣で,黄金の角と青銅のひづめをもつこの鹿をまる1年追いかけ,生捕りにした。(4)アルカディア地方のエリュマントス山の猪の生捕り。この狩りへ出かける途中,彼は半人半馬のケンタウロスたちと戦い,多数を倒した。(5)エリス王アウゲイアスAugeiasの牛小屋掃除。数千頭の牛が飼われているのに一度も掃除をしたことがないという不潔な牛小屋に,アルフェイオスとペネイオス両河の流れを導き,一日で仕事をかたづけた。(6)アルカディア地方のステュンファロス湖畔の鳥退治。青銅のくちばし,爪,翼をもち,人畜に害をなしていた無数の鳥を鳴子(なるこ)で森から追い出し,矢で射落とした。(7)クレタ島の牡牛の生捕り。島の王ミノスに協力を求めたが断られ,独力で捕らえて連れ帰った。(8)トラキア王ディオメデスDiomēdēsの人食い馬の生捕り。これはディオメデスが人肉を与えて飼っていた4頭の牝馬で,王はヘラクレスに殺されて馬の餌食にされた。(9)アマゾンの女王ヒッポリュテHippolytēの帯の奪取。アマゾンの国を訪れたヘラクレスに女王は帯を与えることを承諾したが,ヘラの陰謀で戦いがもちあがり,彼は女王を殺して帯を奪った。(10)ゲリュオンGēryōnの飼牛の生捕り。ゲリュオンは手足が6本ずつ,首が三つある怪物で,はるかな西方の地にすんでいた。ヘラクレスはこの旅の途中,今のジブラルタルに至ったとき,ヨーロッパとアフリカの両岸に向かい合った巨大な2本の柱〈ヘラクレスの柱〉を建てた。(11)世界の西の果てにあるヘスペリデスの園から黄金のリンゴを取ってくること。園の近くに蒼穹を肩で支えている巨人神アトラスがいたので,ヘラクレスは彼にかわって蒼穹を背負い,その間にアトラスがリンゴを取ってきた。ヘラクレスがプロメテウスの肝臓をついばんでいた鷲を射殺して彼を解放してやったのは,この旅の途上でのできごと。(12)冥府の番犬ケルベロスの生捕り。アテナ,ヘルメス両神の導きで冥府に下った彼は,冥府の王ハデスの許しを得て,素手で捕まえて地上に連れ戻ったが,エウリュステウスの命令ですぐこの猛犬をハデスに返した。
これらの功業を終えて自由の身となった彼はテーバイに戻り,妻メガラを甥に与えたのち,さらにトロイア遠征,牛小屋掃除の報酬を拒んだアウゲイアスへの報復,ピュロス攻略などの武勲をたてた。その間に彼はカリュドン王オイレウスOileusの娘デイアネイラDeianeira(猪狩りで有名な英雄メレアグロスの妹)を妻としていたが,アイトリア地方のオイカリアを攻略して王女イオレIolēを捕虜にしたとき,デイアネイラはイオレに夫を奪われるのを恐れて,かつてケンタウロスのネッソスNessosから愛の妙薬をしみこませたとのふれこみでもらった衣を,それがヒュドラの毒を塗ったものとも知らず,夫に与えた。このため五体を毒に侵された彼はみずからをテッサリア地方のオイテ山上に運ばせ,火葬壇に登って火をつけさせた。こうして彼の肉体は滅びたが,不死の部分はゼウスによって天に上げられ,彼はそこでヘラと和解し,その娘で青春の女神ヘーベーを妻としたという。
ヘラクレスは,たぶん,ヘラ女神崇拝の中心地であったアルゴスの大王に仕えてかずかずの勲功をたてた歴史的人物から発展した英雄で,核となるもとの勇士の武勲譚のまわりにテーバイその他からさまざまの事跡や説話が付加されて,長大なヘラクレス伝説が形成されたものと考えられる。強力無双で堅忍不抜,それでいて短気,大食漢,色好みというその典型的な英雄像は,古代人の絶大な人気を集める一方,ギリシア各地,とりわけドリス人の間で人々を災禍から守ってくれる神としても崇拝されていた。美術作品では,弓と棍棒を持ち,ライオンの毛皮をまとった有髯のたくましい男に表現されるのが通例。有名な彫刻に,シキュオンのリュシッポス(前4世紀)の作品をアテナイのグリュコン(前1世紀)が模刻した〈ファルネーゼのヘラクレス〉(ナポリ,国立考古学博物館蔵)がある。
→ギリシア神話
執筆者:水谷 智洋
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ギリシア神話中最大の英雄。ペルセウスの玄孫。アルクメネは、夫アムフィトリオンに化けたゼウスを受け入れた次の日、遠征から戻った本当の夫を迎えて、神の子ヘラクレスと人の子イフィクレスの双子の母となる。ゼウスは彼女の産が近づいたとき、今日生まれるペルセウスの子孫がアルゴリスの支配者となると宣言したが、それを知ったゼウスの妻ヘラは双子の誕生を遅らせ、もう1人のペルセウスの子孫でまだ7か月のエウリステウスを先に世に出した。このため、ヘラクレスは後年エウリステウスに臣従することになる。誕生後まもなくヘラが二匹の蛇を揺り籠(かご)に放ったが、ヘラクレスは両手でそれを絞め殺した。また彼は、18歳のときキタイロン山の獅子(しし)を退治して、その皮を胴着に、獅子頭(がしら)を兜(かぶと)にしたが、このほかにヘルメスからは剣、アポロンからは弓矢、ヘファイストスからは黄金の胸当て、アテネからは長衣をもらって武具とした。
やがてテバイ(テーベ)を敵国より救い、その功によって王女メガラを与えられて3子をもうけるが、ヘラに正気を失わさせられたヘラクレスは、わが子らを火中に投じて惨殺する。そしてその罪を浄(きよ)められたのちに神託をうかがうと、エウリステウスに12年間仕え、課せられる12の難業を果たせば不死となろう、といわれた。その内容は普通、次のようなものとされる。(1)ネメアの不死身の獅子退治。彼はこれを記念してネメア競技会を、また別の機会にはオリンピア競技会を創始する。(2)レルネのヒドラ(水蛇)退治。殺したヒドラの胆汁で毒矢をつくった。(3)アルテミスの聖なる鹿(しか)の生け捕り。(4)エリマントス山の猪(いのしし)の捕縛。(5)3000頭の牛を飼いながら30年間掃除されたことのなかったアウゲイアスの家畜小屋を、1日できれいにすること。(6)スティムファロス湖の猛禽(もうきん)退治。(7)クレタの狂い牛の生け捕り。(8)ディオメデスの人食い馬の捕捉(ほそく)。(9)アマゾンの女王ヒッポリテの帯の獲得。(10)西の果ての島に住むゲリオンの牛の奪取。このとき、地の果てまで到達した記念として、ジブラルタル海峡を挟むスペイン側とアフリカ側の山に「ヘラクレスの柱」を立てた。(11)ヘスペリデスの園から黄金のリンゴを盗み出すこと。このおり彼は、アトラスにかわってしばらく天を支えた。(12)地獄の番犬ケルベロスを地上に連れ出すこと。冥界(めいかい)で彼はメレアグロスの亡霊に会い、その妹デイアネイラと結婚する約束をする。
彼はエウリステウスへの奉仕から解放されたのちも、さらに数々の遠征や戦闘に加わった。英雄たちを集めてトロイア(トロヤ)に遠征し(有名なトロヤ戦争より昔のもの)、ピロスを攻略し、フレグライにおける神々と巨人族ギガンテスとの闘いでは、神々を助けて勝利をもたらした。また彼は、12の難業や遠征の途中たくさんのパレルガ(副次的事業)を果たした。キクノス、アンタイオス、ケルコプスたち、リカオンらの怪人野盗の類を退治し、盟友アドメトスの身代りとして死んでいったその妻アルケスティスを冥界から連れ帰り、コーカサスで磔(はりつけ)にされたプロメテウスの肝臓をついばむ大鷲(おおわし)を射落としたりもした。
のちにヘラクレスはカリドンに赴き、アケロオス河神とデイアネイラを争うが、勝って彼女を妻にする。帰国の途中、ケンタウロス(半人半馬族)のネッソスが妻を犯そうとしたので、ヘラクレスは彼を射殺すが、そのとき瀕死(ひんし)のネッソスがデイアネイラに、将来夫の愛がほかの女へ移るようなときにはこれを使うとよいといって自分の血を与える。のちにヘラクレスがオイカリアを攻め、美しい王女イオレを捕虜として連れ帰ることを知った彼女は、夫の愛がそちらに移ることを恐れて、ネッソスの血を塗った衣装を迎えの使者に持たせ、夫のもとへ送る。ヘラクレスがそれを身につけるや血は毒性を発揮し、そのため彼の肌は焼け、肉はただれ落ちた。この結果を知った妻デイアネイラは自殺し、なかば不死のヘラクレスは火葬壇に身を横たえるが、薪(まき)に火がつけられると同時に雷雲が降下し、ゼウスが彼を天上にあげた。彼はそこでヘラと和解し、ヘラの娘ヘベ(青春)と結婚して神の列に加わった。
ヘラクレスの子供はおびただしい数に上る。歴史時代のギリシア各地の王家が、自らヘラクレスの子孫と名のったばかりでなく、北方の遊牧民スキタイの王族や、小アジアのリディア王家さえもヘラクレスの後裔(こうえい)とする伝説がつくられた。彼を扱った劇では、ソフォクレスの『トラキスの女たち』、エウリピデスの『ヘラクレスの子供たち』『狂えるヘラクレス』などが現存する。
[中務哲郎]
大阪証券取引所(大証。現、大阪取引所)により、2010年(平成22)10月まで運営されていた新興企業向け市場。アメリカにおいて、新興企業に成長機会を与え、投資家に魅力ある投資対象を提供することで、世界最大規模に発展したNASDAQ(ナスダック)が、日本のソフトバンク社と組んで2000年に設立した、ナスダック・ジャパンが前身。ナスダック・ジャパンは当初、アメリカ流の取引システムを持ち込もうと試みたが、結局は大証の取引システムを借りて取引することとなり、大証の一部門のような形態でスタートした。
ナスダック・ジャパンは、ベンチャー企業や新興企業などを発掘し、当時のJASDAQ(ジャスダック)市場や東京証券取引所(東証)内に設立されたマザーズとの間で、新興企業の争奪戦を演じ、市場間競争の幕開けと称された。しかし、当初に期待されたような成果があがらず、発足後2年ほどで撤退を余儀なくされた。その後、大証がナスダック・ジャパンを引き継ぎ、2002年からはヘラクレスと名称変更し、新興企業向けの専門市場として、東証におけるマザーズなどと同様の位置づけとなった。
2008年、大証とJASDAQ市場を運営するジャスダック証券取引所との間で経営統合に向けた協議がまとまり、2009年には大証がジャスダック証券取引所を完全子会社化した。これに伴い、ヘラクレスは2010年、JASDAQ、NEO(ネオ)(2007年8月に開設されたベンチャー企業向けの市場)とともに市場統合され、新JASDAQ市場となった。さらに、2013年1月に東証グループと大証が経営統合し、日本取引所グループ(JPX)が設立されると、現物市場はJPX傘下の東証に集約されることとなった。この結果、JASDAQ市場も東証で開設・運営されていたが、2022年(令和4)4月の東証再編に伴い、新たなスタンダード市場とグロース市場に吸収される形で終焉(しゅうえん)を迎えた。
[高橋 元 2023年1月19日]
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ギリシア神話の英雄。その名は「ヘラの光輝」を意味する。ティリンスの王子として生まれ,獅子,野牛,怪鳥,怪物などを討つ12の功業を立てたという。ヘラを崇拝した部族と関係が深いらしい。
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… ヘンデルのオラトリオは1740年から41年のシーズンまではオペラのシーズンの途中で演奏されていたが,43年以後彼はこれらを四旬節の期間に限り,オラトリオによる新しいシーズンを設営することによって,もっぱらオラトリオに集中することになった。《ヘラクレス》や《ベルシャザル》(ともに1745)は彼のオラトリオのピークをなすが,《ユダス・マカベウス》(1747)は政治的な事件を背景として大成功を収めた。四旬節オラトリオと並んで,ヘンデルは50年以後ロンドンの捨子養育院において《メサイア》をはじめとするオラトリオを演奏しつづけ,その慈善演奏は彼のオラトリオをイギリス社会に定着させる結果をもたらした。…
…また種族保持のために,毎年,時を定めて他国の男と交わって子種を得たが,生まれた子どもは女児のみ育て,男児は殺すか不具にするか,あるいは父親のもとへやったと伝えられる。アマゾンの町としてもっとも名高いのはポントス(黒海南岸地方)のテミスキュラで,この地を英雄ヘラクレスが訪れ,女王ヒッポリュテHippolytēを殺害してその帯を奪った(十二功業の第9番目)。アテナイ王テセウスも(一説ではヘラクレスとともに)女人国に遠征し,ヒッポリュテの妹アンティオペAntiopēをさらってみずからの妻とした。…
…冥王ハデスとその妃ペルセフォネがすむ館の入口にいて,そこを通る死者たちを威嚇し生者の通過は許さぬと信じられたこの猛犬は,怪物の王テュフォンが,上半身は人間の女で下半身は蛇の形をした女怪エキドナに生ませた,どれも恐ろしい怪物の子の一つで,三つの犬の頭をもち,尾は生きた蛇で,背中からもたくさんの蛇の頭が生え出ており,頭の数は全部で50とも100ともいわれている。12の功業の一つとして,この犬を連れてきて見せることを,主君のエウリュステウスから命令されたヘラクレスは,冥府にきて,武器を使わぬという条件つきでハデスの許可を得ると,素手で犬と格闘し,蛇の頭にかまれながらひるまず怪力で締めつけて,ついに降参させた。そして従順になった犬を従えて帰ったところが,それを見てエウリュステウスは震え上がって,すぐにまた冥府に戻させたという。…
…ゼウスは人間の女との間にも多数の子をもうける。主要なものだけを挙げれば,テーバイの王女セメレSemelēによりディオニュソスを,アルクメネAlkmēnēによりヘラクレス,ダナエDanaēによりペルセウス,エウロペによりミノスを得た。それぞれの場合につき細目と関与者を特徴づける物語が語られている。…
…ヘシオドスの《神統記》には,この犬は怪物テュフォンとエキドナEchidnaの子で,50の頭と青銅の声をもつと語られているが,古典期の文学や美術では,頭は三つで,蛇の尾をもつ姿に描かれており,キリスト教美術に受け継がれたのも後者の方である。ヘラクレスが冥府に下り,ケルベロスを生捕りにして地上に連れ戻った話は,彼の十二功業の一つとして名高い。【水谷 智洋】。…
…彼らは野蛮かつ好色な種族で,テッサリア地方のペリオン山に住んでいたが,近隣のラピタイ族の王ペイリトオスPeirithoosの結婚式に招かれたおり,酩酊(めいてい)した数人のケンタウロスが花嫁や他のラピタイ族の女を犯そうとして両族間の戦闘となり,敗れたケンタウロス族はペロポネソス半島へ逃れた。その後,エリュマントス山の猪狩りに赴く途中の英雄ヘラクレスがエリス地方を通りかかったとき,ささいなことからケンタウロス族との戦いが生じ,多くのケンタウロスどもが生命を落とした。この中には,医神アスクレピオスに医術を授け,アキレウス,イアソンらを養育したことで知られる賢者ケイロンCheirōnも含まれるが,彼は他のケンタウロスどもとは生れを異にし,ゼウスの父神クロノスの子であったとされる。…
…(2)ギリシア伝説のトラキア王。4頭の持ち馬に人肉を与えて飼育していたが,英雄ヘラクレスに殺され,馬を奪われた。一説では,みずからもその馬の餌食にされたという。…
…そこでゼウスは,人間どもの禍いの因となるべく,神々に命じてつくらせた人類最初の女パンドラをエピメテウスの妻に与える一方,プロメテウスをカウカソス(コーカサス)山の岩に鎖でつなぎ,肝臓を鷲についばませた。この肝臓は夜の間に元どおりになるので,彼の苦痛は絶えることがなかったが,のち英雄ヘラクレスに解放されたという。このほか,彼は粘土から人間を創造したとの伝承もあり,またアイスキュロスの悲劇《縛られたプロメテウス》では,天文,数,文字など,さまざまの技術を人間に教えた恩人とされている。…
…【浜谷 稔夫】
[伝承]
ポプラの語源はラテン語populus(人民)で,ローマ市民がこの木陰で集会を開いたといわれ,古くは家々の前庭に植えられた。ギリシア神話ではポプラの1種ウラジロハコヤナギを〈ヘラクレスの木〉と呼び,勇気を象徴する。彼が怪物カクスを倒した際,この枝で勝利の冠を作ったためとされる。…
※「ヘラクレス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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