日本大百科全書(ニッポニカ) 「アッヘンワル」の意味・わかりやすい解説
アッヘンワル
あっへんわる
Gottfried Achenwall
(1719―1772)
ドイツの古典的統計学者。西プロイセンのエルビングに生まれる。ハレ大学、ライプツィヒ大学などで主として政治学を学び、卒業後はゲッティンゲン大学教授として国家学や政治学の諸講義を担当した。彼の学問は、諸国家の状態記述を課題としたH・コンリングHermann Conring(1606―1681)やM・シュマイツェルMartin Schmeitzel(1679―1747)の学統を継承するものであるが、その方法をさらに体系化し、「国家の顕著事項」を記述する独立した学問として定立し、これをStatistik(統計学)と名づけた。彼が「統計学の父」とよばれるゆえんである。しかしこの「ドイツ大学派統計学」とよばれている統計学は、文章記述が主要な内容をなし、現今の統計学とは著しく趣(おもむき)を異にする。それにもかかわらずこの学派は、国状の比較記述の目的から、逐次、表化の方向をたどり、数字的記述をも加えて、後の表式統計学へと発展する。この学派が、イギリスの政治算術派(W・ペティ、J・グラント)と並んで、統計学の二大源流の一つとされる理由である。
[木村太郎]