日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルハノフ」の意味・わかりやすい解説
アルハノフ
あるはのふ
Alu Alkhanov
(1957― )
ロシア南部チェチェン共和国の政治家。2004年10月大統領に就任。チェチェンのロシアからの独立を認めないプーチン政権の強硬路線に忠実に従い、ロシアからの分離独立を目ざして武装闘争を続けるイスラム武装勢力の掃討を進める。旧ソ連のカザフ共和国出身。旧ソ連の内務省アカデミーを卒業して警察官となり、ロシア中部などで勤務。1992年にチェチェン・イングーシ共和国(当時)の交通警察局次長に就き、1994年にエリツィン政権が始めた第1次チェチェン戦争では政権側に立った。
その後もロシア南部で警察幹部を務め、2003年にチェチェン共和国の親ロシア派政権の内相に抜擢(ばってき)された。2004年5月に同政権のカディロフ大統領が爆弾テロで暗殺されたことを受け実施された大統領選挙で、クレムリンが後押しする「官製候補」となり当選した。この選挙は現地の治安状況が悪く国際的な監視活動が行われなかったこともあり、多くの不正があったと非難された。選挙中には武装勢力に和平交渉を呼びかけたが、当選後はこれを撤回し、強硬路線を明確にした。しかし、2007年に任期を残して辞任した。
[緒方賢一]