改訂新版 世界大百科事典 「アルファセルロース」の意味・わかりやすい解説
アルファセルロース (α-セルロース)
α-cellulose
セルロースからなる繊維(主としてケミカルパルプ)を17.5%の水酸化ナトリウム水溶液に浸し,不溶解部分を水で洗って得られるセルロースの名称。セルロースは高等植物の細胞膜を構成する多糖類で,グルコース(ブドウ糖)の重合体である。綿セルロースは不純物を少ししか含まないので簡単に取り除くことができる。木材セルロースは,グルコース以外の糖の重合体であるヘミセルロースやリグニンとかたく結びついており,それらを取り除くにはケミカルパルプの製造法のような処理が必要である。こうして単離されたセルロースは,まだ少量のヘミセルロースを含むので,アルカリに対する溶解性の差を利用して分離,精製する。アルカリに溶解するが,酸で中和したときに沈殿するのがβ-セルロース,溶液中に残るのがγ-セルロースである。β-およびγ-セルロースは分子量が小さいセルロースとヘミセルロースである。高α-セルロースパルプはレーヨンやアセテートの原料とされる。
執筆者:瓜生 敏之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報