日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンクル・リーマス物語」の意味・わかりやすい解説
アンクル・リーマス物語
あんくるりーますものがたり
Uncle Remus : His Songs and Sayings
アメリカの作家ハリスによる短編物語集。1880年刊。農場で働くリーマスという黒人の老人が、農場主の子供を相手に、黒人の民話や歌を聞かせるという形をとっている。綿花農場で働く黒人の生活を身近にみて育ったハリスは、その経験を土台にして作品をつくりあげ、少年時代に聞き覚えた黒人特有の訛(なま)りを使って書いた。この語り口は黒人の生活を自然に伝えるという効果をあげている。力の弱いウサギが知恵を働かせて、強いキツネをやりこめるといった内容の話が多く、虐げられていた黒人の生活哲学と、当時の社会に対するハリス自身の批判を、そこに読み取ることができる。
[掛川恭子]
『八波直則訳『ウサギどんキツネどん』(岩波少年文庫)』
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