土台(読み)ドダイ

デジタル大辞泉 「土台」の意味・読み・例文・類語

ど‐だい【土台】

[名]
木造建築の骨組みの最下部にあって、柱を受け、その根本をつなぐ横材。建物の荷重を基礎に伝える。
建築物の最下部にあって、上の重みを支えるもの。基礎。「土台石」
物事の基礎。物事の根本。「信頼関係を土台から揺るがす事件」
[副]根本から。はじめから。もともと。「土台無理な相談だ」「土台勝てるはずがない」
[類語](基礎礎石基本大本おおもと根本こんぽん根幹中心基軸基調基底根底もとい下地初歩いろはABC基盤基幹基部大根/(元来もともともとより根っから本来大体自体そもそも何等なんら全然全く一向さっぱりまるきりまるで少しもからきしちっとも皆目一切まるっきりとんといささかも毫も微塵も毛頭更更何もなんにも何一つ一つとして到底とても全くもっててんで寸分一寸寸毫毫末夢にも今まで従来年来旧来これまで在来従前古来かねがねかねて常常つねづね間断かんだん延延連綿長長ながなが脈脈綿綿縷縷るる前前ずっと生まれつき生来

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精選版 日本国語大辞典 「土台」の意味・読み・例文・類語

ど‐だい【土台】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 土で築いた台。土を盛り固めて作った高い台。〔南斉書‐魏虜伝〕
    2. 建築物の最下部にあって、上部の重みを支える横木。付土台、割土台、まる土台など。また、すべて建築物の最下部をなす部分。いしずえ。礎石。〔羅葡日辞書(1595)〕
    3. 物事の根本。基礎。基本。おおね。元になるもの。たね。
      1. [初出の実例]「卦はしたから上(かみ)えたたみあぐるぞ、したの一画の卦がどだいにして上(う)えしそえた心ぞ」(出典:玉塵抄(1563)二二)
      2. 「常に正史上の事実をもて其脚色の起本(ドダイ)として、其小説をば編みたりしが」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉下)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 元来。根本から。もともと。ねっから。
    1. [初出の実例]「土代直仕丁等下遣之条不可然」(出典:経覚私要鈔‐宝徳元年(1449)七月四日)
    2. 「元来(ドダイ)議院政治なんて奴は衆愚に媚びるんだから」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉変哲家)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「土台」の意味・わかりやすい解説

土台(建築)
どだい
sill
groundsill

木造建築において軸組の最下部に横架される部材で、柱はこの上に立つ。土台は、各柱ごとに集中してかかる上部荷重を等分布化して基礎に伝え、建物の不等沈下を防ぎ、かつ各柱の下端を連結してその動揺を防ぐ役目をもつ。

 通常の木造建築では布(ぬの)基礎をつくり、その上に土台を横たえる。布基礎と土台は、あらかじめ基礎に碇着(ていちゃく)したアンカーボルトによって緊結する。簡単な構造では、地表玉石を並べ、その上に土台を横たえることもあるが、地表からできるだけ高くしたほうが耐久性のうえから好ましいことはいうまでもなく、最低でも20センチメートル、できれば50センチメートル程度にあげることが望ましい。

 土台に用いる材料は、柱と同寸かまたはそれよりやや太めの断面で、樹種はヒノキヒバまたはクリなど耐久性のあるものとし、かつ腐朽シロアリの害を避けるための防腐剤や防蟻(ぼうぎ)剤を塗布または浸透させておく。とくにコンクリート布基礎との接触面ではこの処理を必須(ひっす)とする。土台の隅部には同寸断面の材料で45度方向につなぎ、水平力による変形を防ぐ。このつなぎ材は燧(ひうち)土台とよばれる。土台相互の継手(つぎて)は蟻継(ありつぎ)、追掛大栓継(おっかけたいせんつぎ)など、隅部の仕口は留枘(とめほぞ)などとし、土台と柱の仕口は枘差(ほぞざし)、枘差込栓打(ほぞざしこみせんうち)など、なお必要に応じて補強鉄物(かなもの)を用いる。ただし和風真壁(しんかべ)の高級工事では鉄物の露出を嫌うので、継手と仕口だけで完全に固定を図る必要がある。

 日本の木造建築は土台を用いず、柱は礎石の上に独立して立て、脚部は貫(ぬき)または長押(なげし)でつなぐのが伝統工法であったが、地震などに対しては土台を使用することが有利であることが判明し、文化財建造物などで古様を厳格に踏襲しなければならない場合を除き、現在ではすべて土台を用いることになっている。

[山田幸一]


土台(マルクス主義)
どだい

下部構造

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改訂新版 世界大百科事典 「土台」の意味・わかりやすい解説

土台 (どだい)

木造建築の柱の根もとを水平につないで柱の位置を正確に決めるとともに,柱から伝えられる荷重を基礎に伝える役割を果たす構造部材。基礎まで達する柱の間にはさむ場合を割り土台,片側だけ柱の側面に差し固める場合を付け土台,すべての柱の下に通して入れる場合を丸土台ともいう。割り土台は柱下に石を据える玉石基礎に多く,丸土台はコンクリートや地覆石などの布基礎に用いられ,アンカーボルトで基礎と緊結される。建物の内部のものは間仕切り土台,外回りは側(がわ)土台という。土台は地面の湿気や外からの風雨を受けて腐りやすいので,なるべく湿気を受けない高さで,その下端に防腐剤を塗って基礎の上に据える。土台には柱と同寸,または太めの固くて腐らぬ木材(ヒノキ,クリ,ヒバなど)を用い,側土台ではさらに水分を吸いやすい木口(こぐち)をなるべく外に見せないようにするのが望ましい。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「土台」の意味・わかりやすい解説

土台
どだい
groundsill; sill

木造建築において,柱の下部を連結する水平材で,基礎の上に載せる。柱と同寸法ないしは少し大きい角材で,湿気に強く腐りにくいアスナロ,ヒノキ,ケヤキなどの材を用いる。風力によって持上がったり,地震のときに基礎からずり落ちたりしないように,アンカーボルトで2~3mおきに基礎に固定する。また,土台の隅や直交する土台の要所には火打 (直交する土台を斜めにつなぐ角材で,両端をボルトで土台に締めつけたもの) を設け,土台の変形を防ぐ。土台や火打には必ず防腐剤を塗り,シロアリの危険のある地域では,防蟻 (ぼうぎ) 剤を注入しておく。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「土台」の解説

どだい【土台】

木造建築で、柱を固定するために、基礎の上に横に置いた木材や鉄骨。柱から基礎に荷重を伝える役目をする。一般にもっとも地面に近い部材であるため、湿気や虫害などの影響を受けやすく、事前に防腐処理が施される。

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リフォーム用語集 「土台」の解説

土台

木造建築において、1階の柱の下部に設置し、柱から伝えられた荷重を基礎に伝える役割をもつ横材。布基礎にアンカーボルトで緊結される。

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普及版 字通 「土台」の読み・字形・画数・意味

【土台】どだい

土の基台。

字通「土」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の土台の言及

【社会構造】より

…この対概念は,ドイツ語ではUnterbau,Überbauというように建築物のアナロジーに由来すると思われるBauという語によって表現されているが,英語ではこれにstructureの語をあてることに示されているようにこれも一種の構造概念である。マルクスは彼の用語でいう生産諸関係の総体すなわち社会の経済的構造を下部構造または土台と呼び,これに対して法律的・政治的・精神的等の諸形態はその土台の上にそびえ立つ上部構造であるとした。史的唯物論においては,土台としての経済的構造のパフォーマンスが発展して,現行の上部構造がこれに適合しえなくなったとき,上部構造は変動を余儀なくされると説明する。…

【上部構造】より

…マルクス主義の社会理論ひいては歴史理論における基本概念の一つ。下部構造(土台)Basisと対概念をなす。唯物史観(史的唯物論)においては〈人々が生の社会的生産において入り込む一定の,必然的な,彼らの意思から独立な諸関係〉すなわち〈物質的な生産諸力の一定の発展段階に照応する生産諸関係〉の一総体,この〈社会の経済的構造〉を下部構造と呼ぶ。…

※「土台」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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