農場(読み)ノウジョウ

デジタル大辞泉 「農場」の意味・読み・例文・類語

のう‐じょう〔‐ヂヤウ〕【農場】

農業を経営するのに必要な設備と広さをもつ一定の場所。「集団農場
[類語]農地耕地田畑たはた農園田畑でんぱた

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精選版 日本国語大辞典 「農場」の意味・読み・例文・類語

のう‐じょう‥ヂャウ【農場】

  1. 〘 名詞 〙 組織的な農業経営を行なうために、土地農舎農機具などを備え、耕作牧畜をしながら人々が生活している一定の場所。
    1. [初出の実例]「農会は人を派して耕作法を改良し、肥料を用ゆるを勧め、農場を有して、種子苗木を売り出し」(出典:南国記(1910)〈竹越与三郎〉八)

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改訂新版 世界大百科事典 「農場」の意味・わかりやすい解説

農場 (のうじょう)

農業生産が営まれている比較的規模の大きい農地と,生産のために必要とされる機械やその他の諸施設を装備している経営単位。家畜飼養を伴うことも多い。経営規模や装備などについての厳密な規定はなく,慣用的に用いられるもので,経営主体は個人,企業体,公共機関などの場合がある。その土地の名やその性格を示すような名称をとることが多い。ソ連国営農場コルホーズ)や集団農場ソホーズ)はきわめて規模の大きい農業の生産組織であり,アメリカやオーストラリアなどの個人所有の農場にも数千haの規模のものがある。中国の人民公社も内容は大きな農場であり,作物栽培や家畜の飼養が営まれている。

 日本の農家は大部分が家族経営の形をとり,耕作面積も小さいので,一般に農場とは呼ばれない。近年,借入地などを利用した比較的規模の大きい集団栽培がみられるようになったが,土地が必ずしも連続しているとは限らないので農場の概念には入らない。企業形態をとるものには農場と呼ばれるものが多く,岩手県の小岩井農場もその一つである。この農場は古い歴史を有するとともに,作物栽培,畜産および林業をも営む総合農場である。また,種苗会社は種子や苗木の生産のための農場をそれぞれの社内に所有している。公的機関に属する農場には次のようなものがある。イネ,ムギ,いも類の種子生産を行うための国または県の組織である原種(原々種)農場,作物栽培や家畜の飼養などの実践を通じて次代の農業経営者を養成する機関である経営伝習農場,作物の栽培や家畜の飼養などを通じて学生に対する実習教育を行うとともに,研究者の実験研究が行われている大学農学部または農業高校の付属農場などである。
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大学事典 「農場」の解説

農場
のうじょう

農学分野の学部や学科の教育研究用に設置される附属施設。大学設置基準により,設置することが規定されている。附属農場のほか,農業技術センター,フィールドサイエンス教育研究センター等の名称が用いられる。教育実習,研究のほか,公開講座,小中学校等との連携等,地域との交流にも活用される。2014年現在50以上の国公私立大学に設置されている。なお大学設置基準は,林学に関しては演習林,獣医学に関しては家畜病院,畜産学に関しては飼育場または牧場,水産学に関しては練習船,水産増殖に関しては養殖施設の設置を規定している。近年はこれらの施設の大学を超えた共同利用化が進められている。アメリカ合衆国の州立大学では,農学部は教育研究のみならず地域社会へのエクステンションサービスの典型である育種や営農等の普及機能を有していた。農場はそのための実験,普及のための圃場でもあった。日本ではこれらの活動は都道府県の農業改良普及事業として位置付けられ,農業改良普及センター等の組織がその機能を担っている。
著者: 小林信一

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