化学辞典 第2版 「イソシアン酸」の解説
イソシアン酸
イソシアンサン
isocyanic acid
HN=C=O(43.02).シアン酸HOCNとの互変異性体.雷酸HONCの構造異性体.シアン酸と同じく,シアヌル酸の熱分解で生成する.気体分子は,H-N0.99 Å,N-C1.21 Å,C-O1.17 Å.∠H-N-C128°,∠N-C-O180°.気体状態またはCCl4,ベンゼン,エーテルなどの溶液中では,おもにイソシアン酸の形をとり,数週間は安定である.水にわずかに溶け,主としてシアン酸形をとるが,不安定で加水分解して炭酸水素アンモニウムになる.イソシアン酸エステルRNCO(Rは炭化水素基)には,シアン酸エステルに比べて,安定なものが多い.金属塩は,金属の種類によってMNCO,MOCNの双方の型のものが得られる.金属錯体でも配位子がO-配位(シアナト錯体),N-配位(イソシアナト錯体)の双方のものが知られている.[CAS 75-13-8]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報