イタール(読み)いたーる(その他表記)Jean Marc-Gaspard Itard

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イタール」の意味・わかりやすい解説

イタール
いたーる
Jean Marc-Gaspard Itard
(1774―1838)

フランスの聴能学、聾(ろう)教育の先駆者であるが、1799年ごろフランス、アベロン地区コーヌの森で捕らえられた野生児教育訓練挺身(ていしん)し、知能障害教育の創始者として有名である。野生児の教育訓練は実験的に開始され、感覚機能、知的機能、感情機能などの発達を訓練目標とした。野生児は多くの面で進歩がみられたものの、当初の目標を達成できず、彼はこの少年が生まれつきの知的欠陥児であることを認めた。彼の教育方法は後世の治療教育および障害児教育に大きな影響を及ぼし、また原始状態にある人間の発達と教育の可能性へ挑戦したことで、重要な示唆を与えている。

[井田範美]

『イタール著、古武弥生訳『アヴェロンの野生児』(1976・福村出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android